リベリアで住民と遺体回収チームがトラブル(画像はabcnews.go.comのスクリーンショット)

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これがエボラ出血熱の流行地の現状。そして、これが現地に派遣されて活動しているスタッフと住民との間の、埋めがたいと言われている溝の原因なのであろう。米『ABC News』が興味深い映像を伝えている。

あまりの具合の悪さに道端で倒れた労働者だという37歳の男性。毛布がかぶせられ、皮膚は黒く変色し、しかし助けを求めても誰も来てくれない。リベリアの首都モンロビアである以上、当然エボラ出血熱患者であることを予想しなければならないからだ。やがて動かなくなったという情報に米国主導の遺体回収・埋葬チームが車で駆け付けた。しかし…。

米メディア『ABC News』が伝えているその映像は、同局の番組『Good Morning America』のためにリチャード・ベッサー博士がレポートした現場の様子である。完全な防護服を着用したスタッフたちは、その男性がエボラ出血熱で死亡したものと予想して黒いビニール袋に包み、埋葬の地に運ぶべく専用車に乗せようとしたが、はみ出ていた男性の手が動いたことから、その場にいる住民らが「死んでいない! まだ生きている」の叫び声をあげる。男性の体は再び同じ場所に横たえられ、約10分後に救急医療チームが現れて医療施設へと運んで行った。

この地区のリーダー格の人物は、「何日にもわたりこの男性を助けてくれるよう要請していたのに、治療をする気がないのか救急車も誰も来てくれなかった。死んだと伝えたら1時間もなく遺体回収チームが現れたんだ」と話しており、住民らは怒りに任せて次々と野次やブーイングの声を彼らに浴びせている。

ついにエボラ出血熱の感染者は7000人を超え、死亡者も3000人を超えたことが報じられている。終息のめどが立っていないだけに、世界各地から現地に派遣されている医療スタッフの疲労感が伝えられているが、住民からの暴力の被害にあったケースも複数報告されている。体調が悪くなった時に「外国人医療チームより地元の医師。薬より祈祷が有効」などと信じている住民が多いことも現場の大きな苦悩、改善の妨げとなっているもようだ。

※ 画像はabcnews.go.comのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)