雪を早く溶かしたいならコレだ!「カラー・ポリ袋に入れるだけ」

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2週連続で東京を襲った大雪。後半に雨が降ったせいか、氷のかたまりとなった残雪を今なお多く見かける。

快晴でもなかなか溶けないのは白いからで、日が当たっても80%近く反射してしまい、温度が上がらないからだ。土をかぶせて色をつければ早く溶けそうだが、後始末が大変だ。お勧めはカラー・ポリ袋に入れるだけ。

昔なじみの黒いゴミ袋が手に入れば、ベランダの雪など簡単に処理できそうだ。

■望む、黒い雪

冬山やスキー場でサングラスが必要なのは、雪で反射し紫外線が増えるからだ。これは紫外線に限らず、光の多くは反射されてしまうので、晴れの日でも雪は意外と溶けない。射しこむ光に対して反射する割合を反射率と呼び、数値が大きくなるほど光のエネルギーを吸収しにくい。

地面の状態とおよその反射率をあげると、

・草地/土 … 10%以下

・アスファルト … 10%

・水面 … 10〜20%

・地球(平均) … 30%

・新雪 … 80%

で、道路に使われているアスファルトは光を90%も吸収するに対し、新雪は20%程度しかない。もし地球が雪で覆われたら、光を反射〜雪が溶けない〜ますます寒くなる、と、寒冷化一直線の構図になってしまうのだ。

雪の反射率が高いのはなぜか? これは材質よりも色が大きく関係している。身近な素材、色、およその反射率を比べてみると、

・ガラス … (透明)10〜12% / (黒色)5%

・塗料 … (白色)70〜85% / (濃色)15〜40%

と、同じ素材でも色によって大きな差が生まれる。色だけで比較すると、白は70%も反射するのに対し、黄色は50%、赤/青は20%と下がる。もっとも小さいのは黒の4%で、ほとんどの光を吸収するため熱が生まれやすい。

つまり、雪を黒く塗りつぶせば、早く溶かせるのだ。

Paint it Black(黒く塗れ!)

■求む、黒いゴミ袋

雪を黒くするもっとも簡単な方法は、土をかぶせることだ。表面の土が光を吸収し、温まって雪を溶かす。極めてシンプルな方法だが、溶けたあとの土の始末がやっかいだ。道路が泥だらけでは迷惑だし、ベランダにも適した方法とは呼べない。

ガスや電気ヒーターで溶かせばスマートだが、多大な費用を覚悟しなければならない。

溶けずに数日経った雪は、水を吸って氷になっている。そこでガス器具で氷を溶かすとどうなるかシミュレーションしてみよう。0℃・1kgの氷を溶かすには約80kcal(キロ・カロリー)が必要で、対して1立方mのガスから得られるおよその熱量、溶かせる氷の重さは、

・都市ガス … 11,000kcal / 137.5kg

・プロパン … 24,000kcal / 300kg

・ブタン(カセットコンロ) … 31,000kcal / 387.5kg

で、現在の東京ガスの料金で計算すると、使用量の少ないA表の料金なら161.17円、もっとも安価なF表の料金でも125.47円かかる。

ハイパワーなブタンガスを使ったカセットコンロを使うとどうなるか? 250g入りボンベが特売でも100円ぐらいだろうか、これ1本で37.3kg溶かせる計算だが、これらはガスのエネルギーがロスなく使えたらの話で、実際には半分程度だろう。

テマと時間とガス代をかけて溶かすぐらいなら、やはり日光を利用するのが良さそうだ。

もっとも安価で手軽なのは、色付きのポリ袋だ。雪かきついでに袋に入れて、なるべく日当たりの良い場所に置くだけで、圧倒的に早く溶ける。

ひと昔前に使われていた黒いゴミ袋がベストだが、白以外ならそれなりの効果が期待できる。半透明・赤のポリ袋(45リットル)で試したところ、いっぱいに詰めた雪が半日強ですべて溶けた。また、風を受けないためか夜間も凍りにくく、直射日光が当たらない時間帯でも溶け続けていた。

溶け出た水を雪に吸わせないよう、水はけをよくしておくのがポイントだ。せっかく溶かしても夜間に凍ってしまっては意味がない。袋の底に穴を数か所あけ、水が抜けるようにしておくだけでOKだ。

■まとめ

・色つきポリ袋、できれば黒を用意する

・底に穴を数か所あける

・雪を入れ、袋の口を軽くしばっておく

定番の青いレジャー・シートをかぶせても、それなりに効果が得られるはずだ。興味のある方はお試しあれ。

(関口 寿/ガリレオワークス)