写真提供:マイナビニュース

写真拡大

KDDI上期決算は増収増益
KDDIは10月28日、2013年度第2四半期の決算を発表した。上期の営業収益は初めて2兆円を突破し、営業利益も過去最高となる3,476億円を達成して増収増益。モバイルの通信料収入を始め、各事業で売上が堅調で、同社の田中孝司社長は、通期で対前年比20%の増益目標に向けて順調に進捗している点をアピールする。

上期の連結業績は、営業収益が対前年同期比18%増の2兆538億円、営業利益は同50.3%増の3,476億円、純利益は同104.4%増の1,630億円、EBITDAは同36.3%増の6,009億円、フリーキャッシュフローは同76億円のマイナスから1,730億円に増加した。通期予想に対する進捗率は、営業収益が49.6%、営業利益が55.2%に達し、好調な業績だった。

各事業部門すべてで増収増益となり、特にモバイル通信料収入は同443億円の増加となり、固定通信料収入の188億円増とあわせ、通信料収入が業績に貢献した。その他の収入が186億円、CATVのJ:COMを連結化したことによる影響が347億円、それぞれプラスとなり、1,164億円の増収となった。

モバイル通信料収入は、前年同期を底として反転しており、同5.7%増の8,237億円となった。J:COMの影響で固定通信料収入が大幅に拡大し、同96.9%増の3,475億円。J:COMの影響を除いても同10.6%増の2ケタ成長となり、単独のFTTH事業である「auひかり」が初めて黒字化。増収を下支えしている。

モバイル事業のauは、毎月割の影響を含めた通信ARPU(ユーザー一人当たりの平均収入)が、第2四半期は4,180円となり、対前年同期と比べると60円の減少だが、前年の第4四半期を底に上昇傾向にあり、直前の期に比べて70円増加した。対前年同期比の減少割合も縮小傾向で、同1.4%減にとどまり、第4四半期にはプラスに転じることを目指す。

特にデータARPUが急速に伸びており、3,180円となった。対前年同期比での伸び率は14%と2ケタ成長で、他社と比べても「業界最高水準の伸び」(田中社長)となった。

データARPUの伸びを支えるスマートフォンの販売では、利用者全体におけるスマートフォン比率が42%に達し、LTEスマートフォンも22%になったことが伸びに寄与。スマートフォン販売のうち、LTEスマートフォンは98%に達し、今後さらに伸びることが期待できる。

毎月割の単価をコントロールすることで、ARPUが伸びており、第2四半期は1,400円と、対前年同期比で20%削減。純増数は134万で、同33.4%増。通期230万の予想に対して58.1%の進捗となった。

●今後の事業計画について説明、iPadの下取りサービスも提供へ
MNPの純増数が24カ月1位、解約率も業界最低水準の0.67%を維持しており、順調にユーザー数が拡大している。

固定とモバイルを同時に契約することで料金を割り引くauスマートバリューの契約数も増加。モバイルは540万、世帯数は286万となり、1世帯当たりのauユーザーが1.89まで増加。auユーザーの拡大に貢献した。

コンテンツサービスなどの収益を示す付加価値ARPUは全体で440円と拡大。auスマートパスが順調で、9月末で799万契約に達した。

田中社長は、「au 4G LTEの総合力」を強化することで差別化を図る考えを示す。800MHz帯の「断トツのネットワーク」(同)をベースに、端末、料金、サービス、サポートの各項目をさらに強化し、収益の拡大を目指す。

ネットワークでは、800MHz帯のLTEは、全国で下り最大75Mbpsに対応し、実人口カバー率は98%まで達した。2.1GHz帯は37.5〜150Mbpsの高速通信にも対応し、現時点で同78%、2013年度末で80%以上をカバーすることを目指す。

提供端末では、冬商戦向けにiPhone/iPadに加え、Android製品7機種を用意し、スマートフォンからタブレットまで幅広い端末を用意。さらにグループのUQコミニュケーションズが10月31日に開始する高速通信サービスWiMAX 2+に対応した端末も提供する。

料金では、auスマートバリューの提携事業者をさらに拡大。固定回線を持たない単身世帯向けに、WiMAX 2+対応モバイルルーターと組み合わせられるプランも用意する。

サービスでは、これまでコンテンツ中心に提供していたauスマートパスでリアル店舗と連携したO2Oサービスを展開。サポートサービスについては、auスマートサポートにイベント参加型スマートフォン教室を追加するなど、内容を強化する。

田中社長は、第4四半期に通信ARPUを対前年同期比で反転するという目標に対して「急速に改善していて、非常にいい結果が出ている」と強調。ネットワークとして800MHz帯のLTEを主力に、「競争力の強化を続ける」(同)意向だ。年間目標への進捗率も順調で、「16年3月期まで、毎期連続営業利益2ケタ成長」という目標についても「順調な進捗」とアピールしている。

好調な業績の中で成長するauスマートパスだが、田中社長は、販売店においてコンテンツやサービス、端末との抱き合わせ販売が行われているという指摘があることに対して、「(そういった)指摘を受けているのは存じ上げている」とコメント。「スマートパスなどは、1カ月無料で利用でき、加入して気に入らなかったら解約できるのに、逆のように説明しているということも聞いている」。

それに対し、「店頭での改善を進めており、(auスマートパスなどが)オプションサービスであるということを徹底していきたい」と田中社長。「あくまで(1カ月無料は)お試しで、ダメなら(気に入らなければ)解約してもらう。(端末購入時の)必須条件にするのは決して許されるものではないので、(販売店に)指導を進めていきたい」としている。

また、会見後に取材陣に対し、田中社長は「iPadの下取りを行う」と話しており、iPhoneに加えて、無線LAN版も含むiPadについても下取りサービスを、今後提供することを明らかにしている。

(小山安博)