スペインのアンドレス・イニエスタは「重心の使い方が非常に美しい」

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 7月4日、東京都内にて1dayセミナー『EURO2012から学ぶ現代サッカーのトレンド−−スペイン代表をモチーフにフットボールの未来を考察する』(主催:サッカージャーナリスト養成講座、協力:サッカーキング、ワールドサッカーキング、フットボールプラザ)が開催された。講師を務めたのはサッカーライターの清水英斗氏。
 セミナーでは、スペインの大会2連覇で幕を閉じたEURO2012で活躍した各国代表を中心に、準決勝、決勝のパスレシーブ数や走行距離、フォーメーションなどのデータを用いて現代サッカーを分析した。スペインの優勝に関しては、準優勝に終わったイタリアがコンディション的に不利だったと指摘。イタリアは中2日で決勝を迎えたが、中3日と中2日では勝率に約40%も違いが出るというデータを挙げた。
 清水氏は縦に加え横のパスでも崩すスペインのサッカーは「“深さ”と同時に“幅”がある」と分析。エネルギーをなるべく使わずに効率よくボール運んでいくスペインのサッカーに着目し、今後はサッカーの「ハンドボール化現象がより加速するのでは」と続けた。
 優勝候補であったドイツについては、準決勝のイタリア戦で喫した先制点のシーンをピックアップして敗因を分析した。「欠点が出たと思います。近年のドイツはサイドで相手がボールを持っている時にどうしても中央を空けてしまう悪い癖がある。これを克服しないと勝てない」と少し厳しい評価を下した。ただし、会場からの「今後気になるチームはどこですか?」という質問に対しては「逆説でドイツです」と答え、「課題である守備が改善されれば、リスクを犯すアグレッシブさはドイツが良い。まだ若い点も魅力です」と理由を続けている。
 セミナーの後半には「フィジカルについて新概念を持たなければならない」とコメント。「昔とは違って、今は5、10mといった短い距離をすばやくスムーズに動けることがフィジカルの強さとなっているように思います」と語り、現代サッカーをリードするスペインを「新時代のフィジカルを持つチーム」と評価した。最もフィジカルに優れた選手にはアンドレス・イニエスタの名を挙げ、「体の軸を自由にコントロールできる天性の才能を持つ選手。重心の使い方が非常に美しい」と称賛した。
取材・文=浅場 透(サッカージャーナリスト養成講座)