新人コンテスト第86回装苑賞は玉田達也「身体構造から創造される衣服」

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 高田賢三氏や山本耀司氏など、数々の著名デザイナーを輩出したファッションコンテスト「第86回装苑賞」の公開審査会が4月24日、東京・代々木の「文化学園遠藤記念館大ホール」で開催された。2次審査を通過した候補者16名が、各3体のコレクションを発表。栄えある「装苑賞」は、文化ファッション大学院大学出身の玉田達也さんに輝いた。 新人コンテスト第86回装苑賞は玉田達也の画像を拡大

 日本を代表するファッションコンテスト「装苑賞」は、1956年に創設された日本初のファッション界の新人賞。これまでに数々の著名デザイナーを輩出してきた。「第86回装苑賞」は、計1,596作品の応募が寄せられ、審査員を務めたのは、岩谷俊和氏、コシノジュンコ氏、田山淳朗氏、津森千里氏、菱沼良樹氏、丸山敬太氏、皆川明氏、山本里美氏の8名。「装苑賞」を決定する公開審査会では、1次審査を通過した16組がミニショー形式で各3体の作品を披露し、その場で審査・発表が行われた。 「第86回装苑賞」に輝いたのは、1988年福島県生まれ、文化服装学院 ファッション工科専門課程を経て文化ファッション大学院大学を卒業した玉田達也さん。「創造的進化」をテーマに、ポーランドの画家Zdzislaw Beksinski(ズシスワフ・ベクシンスキー)の作品からインスピレーションを受け、身体構造から創造される衣服を表現した。賞品は、トロフィと賞金100万円、パリの学校への留学サポートなど。「素材とボディのマッチングに優れていた」(菱沼)などの評価を受けて玉田さんは、「素材の行程に時間をかけた。もっと輝ける未来になるように、これからも人と感動を共有できるような、心に訴える作品をつくっていきたい」とコメントした。なお、装苑賞佳作1位は石田萌さん、佳作2位は章少茵さん、イトキン賞は田中香里さん、rooms(ルームス)賞は松下瑞穂さんが、独自のコンセプトの作品でそれぞれ受賞。審査員は、「素材の追求が目立った」(皆川)などと総評し、新人デザイナーに向けて「ここが頂上ではなくて出発点。新たな山を目指して」(コシノ)、「みなさんはチャンスを得た。過去を超えるデザイナーが、これからバンバン出ていってほしい」(山本)とエールと送った。