思い起こせば、2年前の東京モーターショーは、リーマンショックの影響で、特に大手メーカーほど地味な展示でした。しかしながら、中堅メーカーは頑張っていたと記憶しています。中でもダイハツが出展したイースは、全長が短い3ドアで、Miniを軽自動車にしたような、スペシャリティ感あふれる小粋なクルマでした。


ところがリーマンショックを受けて市販化は中止、しかも可及的速やかに「低燃費のまま安くて実用的なクルマ」へ変身させるよう、経営判断が下されたのだそうです。結果的にデザイナーの皆さんは、強烈なトップダウンを受けて立ち、通常1年かかるデザインを半年間で仕上げたというのですから、素晴らしいですね!

まずスタイルでは、名前の「e:S」が表す「エコ&スマート」のとおり、過剰なデザインを避けて、親しみやすいシンプルなデザインを目指したそうです。
またイースの低燃費を実現するために、外装デザイナーの目標として、空力Cd0.31が課せられました。しかし安くしなければならないので、アンダーカバーやスポイラーといった等の空力パーツは御法度です。丸裸のボディを相手に、面や角を地道にチューニングして、遂に目標を達成したそうです。


次に内装デザイナーへのノルマは、軽量化でした。その制約の中で、シンプルで質感あるデザインを模索したそうです。
そしてインパネには、何と入社2年目の女子社員がデザインした案が採用されました。新人の彼女は、部品構成やコストダウンといった込み入った設計要件を知らなかったのだそうです。それが逆に幸いして、のびのび描けたというのですから、何が幸いするかわからないですね。

ちなみに歴代のすべて本を思い起こすと、女性デザイナーは、ボディカラーやシート生地、ロゴデザイン等に携わる事が多く、スタイルやインパネのスケッチが採用されたケースは、あまり記憶にありません。そういう意味でも、期待の新人ですね。宮田さん、応援してますよ〜!


「空力」と「軽量化」で徹底的に磨き抜かれたミライースは、ただ単にシンプルなだけでなく、まさにその名の通り「エコな合理性」と「スマートな賢さ」を備えていると感じました。


(拓波幸としひろ)




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