中国のインターネットで25日、ミードジョンソン、フリスコ、明治の海外3ブランドの粉ミルクから、有害な可塑剤が検出されたとのうわさが急速に広まった。とされているが、同記事は「粉ミルク3種から検出」と書いているだけで、企業名などは記載していない。明治などの粉ミルクからの「可塑剤検出」はデマとみられている。人民網などが報じた。

 中国では2008年、粉ミルクに有毒物質のメラミンが含まれていたことで、乳幼児などを中心に約30万人に健康被害が出た。一定期間の飲用により腎臓障害などを起こすもので、死者数は「特定できなかった」という。

 現在でも、消費者は粉ミルクの品質について極めて敏感だ。「高価であっても、外国ブランドの方が安心」と考える人が多いだけに、明治などの製品から「可塑剤が検出された」のvが急速に広まったと考えられる。

 「うわさ」は、育児情報サイト、各種掲示板、ブログなどに掲示され、閲覧者も相次いだ。いずれも、香港メディアの「東周刊」記事を情報源とした。しかし、「東周刊」は、香港当局が粉ミルク3種から可塑剤を検出と掲載したが、具体的なブランド名は書いていない。

 同メディア編集者は中国大陸で、自媒体の記事がきっかけで「大騒ぎ」になっていることを驚き、「完全なデマだ」との考えを示した。これまでのところ、記事中に不用意に使った粉ミルク製品の写真を見た読者が、可塑剤が検出された製品の写真と思い、「デマ」が発生した可能性が高いという。

 香港当局は、可塑剤を検出した粉ミルクの具体名を明らかにしていないが、確認された濃度は香港政府が定めた基準の1000分の1から100分の1と極めて低く、健康被害が発生するとは考えられないという。

 香港浸会大学の黄港生教授は「ミルクに混入したというりも、バックグラウンドとして存在した可塑剤が検出された」との見方を示した。空気中などに存在する可塑剤が、粉ミルクに入ったので「環境中に存在するので、どのような食品にも含まれてしまう。母乳からも検出される量」という。

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◆解説◆ 可塑剤は、合成樹脂などに対して柔軟性を高める目的で添加される化学物質。可塑剤として使われる一部物質には人やその他の動物の内分泌を攪乱(かくらん)する、いわゆる「環境ホルモン」の疑いがあるとの見方があるが、厚生労働省(日本)や米国環境保護庁は「差し迫ったヒトへの影響は考えにくい」との見方を示している。

 ただし、慢性や亜急性の毒性は確認されており、「自然界には本来なかった物質が、低濃度とはいえ環境中に存在すること自体が、極めて危険。可塑剤にかぎったことではないが、長期的影響は避けられないだろう」との見方がある。(編集担当:如月隼人)