U−21代表がアジア大会で優勝した。すばらしい結果だね。初戦の中国戦に勝ったことも大きかっただろう。特に尖閣諸島の問題で、日中両国でデモが起きるなど非常に難しい状況下だった。その中で、ホスト国を破り、手ごたえをつかめたのはよかったね。
 
試合内容的には、タイ戦、イラン戦、そして決勝のUAE戦も含め、総じて苦しい試合だった。攻め勝ったというより、守り勝ったという展開がほとんどだった。よく勝てたな、というのが試合を見ていての正直な感想だ。南アフリカW杯での日本の戦いぶりに似ているものがあったね。
 
逆にいえば、選手たちはそれだけたくましいプレーをしたということにもなる。大会を通じて失点1というのは賞賛すべきことだよ。
 
Jリーグから選手を貸してもらえず、海外組も帰ってこない。ベストメンバーとはほど遠い状態で、国内での期待も高くなかった。そうした状況が反骨心を生んだという要素もあったのだろう。失うものがないチャレンジャーの心境で、一丸となって戦えたことがよかったんじゃないかな。W杯といい、日本代表は期待されないほうが力を発揮できる。それもどうかと思うけれど(笑)。
 
さて、まさかの優勝を遂げたことで、関塚監督は難しい悩みを抱えることになった。このチームは、これがベストだという発想で選ばれたチームではない。オリンピック予選に向けてすべての選手を招集できる状態になれば、この優勝メンバーから何人か落とさなければならない。優勝したのに、だ。嬉しい悩みということもできるけど、つらさも生まれるね。
 
そして、ベストメンバーで組んだチームは当然、このアジア大会のチームより、結果も内容もいいものを見せなければ、世間が納得しなくなってくる。かかるプレッシャーはアジア大会の比ではないだろう。
 
しかし、強豪というのはそうした競争を繰り返し、プレッシャーをひとつ一つはねのけ、レベルアップしていくものだ。この世代の今後に注目だね。(了)