日本サッカー協会の会長が突然交代したね。違和感を持たざるを得ない、残念な交代劇だった。犬飼前会長は健康面の理由などにより退任を決めたと発表されたが、それが建前で、協会内での権力闘争に敗れたための退任であることは間違いない。

Jリーグの秋春制への移行を巡ってJリーグ前チェアマンの鬼武氏と対立したりする中で、犬飼氏が徐々に協会内で孤立していった――。確かにそれも間違ってはいないが、そもそも就任当初から権力争いのゴタゴタは始まっていた。
2008年、川淵三郎会長の後を継いで新会長になりうる存在だったのは、当時副会長だった小倉氏や大仁氏、鬼武氏だった。しかしここで鶴の一声がかかり、犬飼氏が突然会長に指名された。当然、これをおもしろく思わない人間もいる。

犬飼氏が人事でいじった部分といえば、原博実氏を強化委員長に据えたぐらいだ。しかし二期目に入るタイミングで、人事に大ナタを振るうことを考えていたかもしれない。それに危機感を持った反対勢力が、一気に犬飼降ろしに走った、という見方もできるね。犬飼氏がナタを振るったら誰が一番危なかったか。今回の交代劇でその恩恵に与った人物、と考えるのが筋だね。

それにしても、非常に醜い、残念な出来事だ。日本サッカー協会の体質的な問題を見事に表している。この醜態をサッカーファンはどう思うだろうか。
W杯招致活動に対する影響も少なくないだろう。権力闘争でトップが急に交代した国に、FIFAはW杯を開催してほしいと思うだろうか。組織としてきちんとした形になっていないことを世界に晒したも同然だよ。

ちなみに、会長を一期務めただけでは名誉会長になれないという。小倉新会長も一期しかできない。つまり名誉会長は当分変わらないんだ。それが何を意味するか、読者の皆はわかるよね?(了)