火星より遠い星への「着陸」に成功した探査機はたった1機のみ

by David Monniaux
これまで人類はさまざまな無人探査機を宇宙に送り込んでおり、中にはボイジャー1号やボイジャー2号のように太陽系を脱出したものもあります。ところが、火星より遠い星への着陸に成功した探査機は記事作成時点までに「ホイヘンス・プローブ」ただ1機とのことで、宇宙関連のメディア・Space Dailyがホイヘンス・プローブについてまとめています。
https://spacedaily.com/t-no-spacecraft-has-ever-landed-in-the-outer-solar-system-except-one-the-huygens-probe-which-parachuted-through-titans-orange-haze-in-2005-and-touched-down-more-than-a-billion-kilometres-fr/
ホイヘンス・プローブは欧州宇宙機関(ESA)が開発した小型の惑星探査機であり、土星の衛星・タイタンへの着陸および観測を目的として作られました。ホイヘンス・プローブは土星探査機のカッシーニに搭載され、1997年に打ち上げられました。
カッシーニは約7年間にわたり太陽系を横断し、金星や木星でのスイングバイを経て2004年6月に土星軌道に投入されました。そして2004年12月25日、ホイヘンス・プローブは土星の周回軌道を回っていたカッシーニから放出され、約3週間かけて自律航行した後、2005年1月14日にタイタンへ突入しました。
タイタンは太陽系内の衛星として唯一の厚い大気を持つ星であり、地球の衛星である月と比べて半径は1.48倍、質量は1.8倍あります。タイタンには安定したメタンの液体があり、生命誕生前の地球とよく似た環境だと考えられていましたが、濃密な窒素やメタンからなるオレンジ色の大気に遮られ、大気の下に何があるのかよくわかっていませんでした。
ホイヘンス・プローブは時速数千kmで大気の外縁部に突入し、直径8.5mのメインパラシュートを展開してゆっくりと降下。目標地点からわずか7kmの地点に着陸することに成功し、さまざまなデータをカッシーニへと送信しました。
NASAのジェット推進研究所が、ホイヘンス・プローブのデータを元に作成した「ホイヘンス・プローブがタイタンに着陸した時の様子を再現した動画」が以下。
Titan Touchdown - YouTube
画面に移っているのがカッシーニです。

カッシーニからホイヘンス・プローブが放出されました。

ホイヘンス・プローブは2005年1月14日にタイタンの大気圏に突入。着陸までの約2時間半にわたり、ホイヘンス・プローブはタイタンで撮影した画像などのデータを送信しました。

タイタンの大気の大部分は窒素であり、残りのわずかな成分はメタンとエタンからなる雲や有機スモッグで構成されています。タイタンはオレンジ色のもやに包まれていましたが、地表から約70kmの地点で晴れ始めたとのこと。

タイタンの地表には氷からなる高地や干上がった湖底に似た低地が存在しており、メタンの液体が表面を流れていたことを示す枝分かれした地形も確認されました。

研究者らはホイヘンス・プローブがメタンの湖や海に着陸することも考え、機体が浮くように設計していたとのこと。なお、後にカッシーニの観測でタイタンの大きな湖や海は極地に限られていることが示されています。

幸いにもホイヘンス・プローブは平原に着陸し、1時間10分にわたりデータ送信を続けました。タイタンの地表には削られて丸くなった氷の岩が確認あります。

ホイヘンス・プローブが使用したパラシュートの影も見えました。

なお、通信プログラムの問題によって、ホイヘンス・プローブがカッシーニに送信した画像枚数は予定の半分ほどである376枚に制限されました。それにもかかわらず、ホイヘンス・プローブは地球の科学者にとって貴重なデータをもたらしたとのことです。
