Snow Man「オドロウゼ!」全方位レビュー 一流の表現者たちが体現するダンスエンターテインメント
2月23日、Snow Manの新曲「オドロウゼ!」が配信リリースされた。
(関連:Snow Man「オドロウゼ!」が映画『スペシャルズ』主題歌として担う役割 作品の世界観を補完しながら描かれる“らしさ”)
■90’sディスコ×最新の技巧ーーSnow Manが放つポジティブの真髄
同曲は3月6日公開予定の佐久間大介主演映画『スペシャルズ』の主題歌であり、作詞作曲を手掛けたのはM!LK「イイじゃん」のヒットが記憶に新しいKanata OkajimaとHayato Yamamotoのタッグだ。Snow Manのオフィシャルサイトを見ると、「誰もが抱えている、日常に渦巻く不安や疲れを軽やかに吹き飛ばし、笑って踊って、前へ進もうと導いてくれるポジティヴなダンスチューン」(※1)という言葉が書かれており、実際、聴くだけで元気をもらえる1一曲であることは間違いない。そして、その高揚感はプロの仕事が凝縮された緻密な設計の上に成り立っていることもわかる。
トラックは4つ打ちを基調としたクラブミュージックで、90’sディスコを彷彿とさせるレトロさがありながらも、現代的にしっかりアップデートされている。また、過度に音を詰め込まず、あえて余白を感じさせるのも特徴のひとつだろう。その余白がグルーヴを生み、リスナーの体を自然に揺らすことに繋がっている。一方、サビでは王道J-POP的な明るい開放感が感じられ、一気に視界が開けていくような構造になっている。さらに、ボーカルアレンジもポイントのひとつだ。AメロやBメロではファルセットやセリフ的な囁き、掛け合いなどで空気を醸成し、サビではユニゾンで厚みを出して躍動感を表現。9人グループならではの立体的な歌声の重なり合いが、楽器のような役割を担っているのも面白い。
歌詞に注目してみると“ポジティヴなダンスチューン”というだけあり、自身を鼓舞するフレーズとリスナーに呼びかける言葉が巧みに組み合わさっている。パワーがほしい時に聴くことも、Snow Manに重ね合わせて聴くこともできるというわけだ。また、前を向く方法として“踊る”という選択肢を提案しているようにも感じる。だが、決して押し付けがましさがないのは、軽やかでラフな言葉選びがされているからなのだろう。さらに同じワードがリフレインしているのも印象的で、理屈よりも衝動に訴えかけている作りにもなっている。そういった歌詞を、エンターテインメント性と真面目さを絶妙なバランスで持っているSnow Manが歌うことで、リスナーに真っ直ぐ届くのだ。
■MVは「ブラザービート」以来の荒伊玖磨監督、振り付けはダンサー・akaneが担当
そんな同曲のリリースと同時に、Snow Man公式YouTubeにてMVが公開された。監督を務めたのは、「ブラザービート」以来のタッグとなる荒伊玖磨監督。荒監督のX(旧Twitter)には「ブラザービートのような、見ていて楽しくなるMVにしたいと佐久間さんからお話があり、オドロウゼ!のMVを監督させて頂きました。話し合いを重ね、明日からも頑張れる!頑張ろう!と、心も身体も踊りたくなるMVを目指しました」(※2)というポストがあり、佐久間発信で楽曲の世界観を存分に反映された内容となっていることが明かされていた。MVを観るとビートに呼応するかのように、カット割りは多め。視覚的にもテンポ感のよさが伝わってくる。サビは引きの画が多く、タイトルを回収するかのようにダンスを見せる構成になっている。カラフルでポップな色使いも非日常的なパーティー感があり、楽曲が持つ開放感の表現にも繋がっているのではないだろうか。
コレオグラファーは、『スペシャルズ』の劇中ダンスと同じくダンサーのakaneが担当。懐かしさを感じさせるステップを使うなど、楽曲の空気感に合わせつつもキラキラとしたキャッチーさがふんだんに取り込まれた振り付けとなっている。そして何よりも、メンバーたちが楽しんでいることが画面越しでも伝わってくるのがいい。観ているだけで明るい気持ちになった人も多いはずだ。その空気が作れるのは、全員でワチャワチャ楽しんでいる空気感を自然と感じさせられるSnow Manだからこそだろう。
「オドロウゼ!」は単に“盛り上がる曲”だけではなく、ビート、ボーカル設計、視覚演出まで一体化した“ダンスエンターテインメント”だと言えるのではないだろうか。そして、それを一流の表現者であるSnow Manが体現するからこそ多くの人の心を弾ませるのだ。同曲はこれからどう広がっていくのだろうか。今後の展開にも期待が募る。
※1:https://mentrecording.jp/snowman/news/detail.php?id=1131482※2:https://x.com/wash_dir/status/2025908146796191924
(文=高橋梓)
