マリナーズ時代のイチロー(C)Getty Images

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オフシーズンの際に毎年話題にあがる、MLBの野球殿堂入り発表。例年1月に投票の結果が発表される、この一大イベント。2025年は特に日本人にとって大注目となりそうな候補者リストが揃っている。
殿堂入りの条件となる3つの項目。これは「MLBで10年以上のプレー実績」「引退から5年以上が経過していること」「全米野球記者協会による投票で75%以上の得票率」という3つになる。これらの項目を満たした選手が、殿堂入りとなるわけだが、一度資格を得たものの「選考での得票率が5%以下だった場合」「選考されてから10年が過ぎてしまった場合」この2つの項目に該当してしまうとルールにより資格を喪失することとなる。
この記事では、2025年野球殿堂入りの注目候補者と過去の選考ポイントなどを併せて解説していく。

■注目の有資格者たちを紹介

イチロー

2025年の殿堂入り候補者で最も注目されているのが、イチロー氏だろう。引退後5年を経て満を持しての登場となるが、殿堂入りはほぼ確実だろう。イチローの焦点は「満票での選出かどうか」の一点に絞られる。
これまで満票で殿堂入りしたのは2019年のマリアノ・リベラ氏のみ。ヤンキースのキャプテンとして活躍し、“満票確実”といわれていたデレク・ジーター氏ですら2020年の投票では1票足りず満票を逃していることから考えても、そう簡単なことではない。日本人野手としてのパイオニアなだけでなく、シーズン最多262安打、通算3000安打、500盗塁、10年連続ゴールドグラブなど数々の偉業を成し遂げたイチロー。野手として史上初の満票獲得なるかに期待が高まる。

フェリックス・ヘルナンデス

キング・フェリックスの愛称で親しまれ、メジャーの舞台ではマリナーズ一筋のフランチャイズプレイヤーとして活躍したフェリックス・ヘルナンデス氏も今季から殿堂入りの有資格者となる。イチロー、城島健司氏と同時期に活躍したことから記憶に刻まれている人も多いであろうヘルナンデスは19歳でメジャーデビューした後、2009年には最多勝を獲得。2度の防御率1位のほか、2010年には投手として最高の権威であるサイ・ヤング賞も受賞したほか、2012年には完全試合も達成した大投手。近年、殿堂入りに先発投手が少ないなかヘルナンデス氏が初回でどこまで票を獲得するのか? また、今後どこまで得票率が伸びるのかに注目が集まっている。

CC・サバシア

主にヤンキースで活躍した大投手、CC・サバシア氏も今季から候補となる。通算561登板、251勝、3093奪三振と三振の取れる本格派左腕であった。250勝と3000奪三振を記録した10人のうち8人は殿堂入りを果たしていることを考えると、サバシアの殿堂入りもほぼ確実と考えても良さそうだが、1回目の投票でどこまで数字を伸ばすかが注目だ。

■昨年50%以上の得票率を獲得した3名の候補者たち

カルロス・ベルトラン

通算打率.279、435本塁打、1587打点、OPS.837の打撃に加えて312盗塁に通算WAR70,1と守備、走塁すべてが一流な「5ツールプレイヤー」として名高いカルロス・ベルトラン氏。スイッチヒッターとして、史上初の300本塁打&300盗塁を果たした名選手は、昨年の投票では初回の46.5%から57.1%まで得票を伸ばし、順調に殿堂入りへ進んでいるが今季はどうなるか? アストロズ時代のサイン盗み問題では主犯格として扱われたことからその評判を落としているのも事実だが、今季の受賞はあるのか。

ビリー・ワグナー

通算853試合に登板、47勝40敗、防御率2.31、奪三振率11.92、WHIP1.00、歴代6位の通算422セーブを達成したビリー・ワグナー氏は、今回が10回目の投票ということで殿堂入りのラストチャンス。有資格者となってから10.5%、10.2%、11.1%、16.7%、31.7%、46.4%、51.0%、68.1%と年々投票率が伸びており、昨年の投票では73.8%であと5票のところまでたどり着いている。

アンドリュー・ジョーンズ

楽天でもプレーしたことから日本でも馴染みの深いアンドリュー・ジョーンズ氏にも注目したい。MLB通算2196試合に出場し、打率.254、434本塁打、1289打点、OPS.823という強力な打棒が記憶に残っている方も多いだろうが、MLB時代には守備の名手としても知られており、外野手として1998年から2007年まで10年連続ゴールドグラブを獲得。今回の投票がジョーンズにとっては8回目の挑戦。昨年は61.6%だったものの、年々投票率が高くなっており残り3回のうちに75%まで票が伸びるのかに注目したい。
その他有名選手では、アレックス・ロドリゲス氏、マニー・ラミレス氏などのスター選手たちも有資格者としてあげられるが、いわゆる“ステロイド時代”の禁止薬物による疑惑があった選手たちには近年厳しい目が向けられている中、彼らはどのような得票率となるのかにも注目したい。