3回無死一塁、左前安打を放つ伏見(カメラ・岩田 大補)

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◆2024 パーソル クライマックスシリーズ パ・ファイナルステージ 第1戦 ソフトバンク5―2日本ハム(16日・みずほペイペイドーム福岡)

 CS最終ステージ(S)が16日、ペイペイDで開幕。日本ハムは投手陣が踏ん張れず、アドバンテージを含め2敗となった。第1S第3戦が行われた14日の試合前練習中に、ボールが当たり鼻骨骨折を負った伏見寅威捕手(34)は「8番・捕手」で強行出場。最後までマスクをかぶり続け、打っても1安打1犠打とけがの影響を感じさせないプレーを見せた。

 人相が変わるほどの負傷の痕も、伏見には関係なかった。3回無死一塁で迎えた第1打席、ソフトバンクの先発・有原の初球カットボールを思い切り引っ張った。三遊間を破る、今CS初安打。「出る以上は何かあっても言うつもりはないですし、普通の選手として出ました」。勝利にはつながらなかったが、最後までマスクをかぶり続けた。

 14日の第1S第3戦の試合前、練習中にボールが顔面にあたった。診断は鼻骨骨折だが、右目にも内出血。出場可否は15日の移動日の状態次第だったが「プレーできることを伝えてもらって、それで監督から『じゃあいくぞ』って」。DMでのメッセージに、言い訳なしのフル出場で応えた。

 守っても投手陣を必死にリード。「(伊藤は)悪くなかったと思いますけど、相手も久しぶりの実戦でいつもと違う感じもありました。バッテリーで探りながら。ちょっと難しい試合だったかなと思います」。感じたシーズン中との違いは、貴重なデータとなった。

 初戦を落としアドバンテージを含め2敗。痛い黒星だが、無駄にするつもりはない。「今日の情報をしっかり処理して明日以降につなげていきたい。4つ勝つことしか考えてないです」とキッパリ。短期決戦の中で、帰ってきたベテランの頭脳と存在感が、チームの大きな力になる。(山口 泰史)