将棋日本シリーズJTプロ公式戦が10月12日、大阪市の「Asueアリーナ大阪」で行われ、準決勝第1局で渡辺明九段(40)と稲葉陽八段(36)が対局を開始した。注目の一戦を制し、決勝進出を決めるのはどちらか。振り駒の結果、先手は渡辺九段に決まった。

【映像】渡辺九段VS稲葉八段 注目の準決勝

 渡辺九段は、2000年4月に四段昇段。竜王戦1組(1組以上:18期)で、順位戦A級(A級以上:13期)。タイトル通算31期は歴代4位、現役2位の快記録で永世竜王と永世棋王の資格を保持。棋戦優勝も11回を数える。序盤研究の深さから中終盤の粘り強さ、細い攻めをつなげる卓越した技術など、どこを取ってもトップクラスでバランスの取れた超一流棋士だ。今年度は王位戦に初挑戦。27・28日に行われた七番勝負第5局で藤井聡太王位に敗れ、シリーズ1勝4敗で敗退となった。JT杯は15年連続19回目の出場で、3回の優勝経験を持つ。今年度初戦では、豊島将之九段(34)に勝利した。

 稲葉八段は2008年4月に四段昇段。竜王戦1組(1組:8期)、順位戦A級(A級以上:7期)。2017年に名人戦七番勝負に挑戦した経験を持ち、棋戦優勝は銀河戦、NHK杯の通算2回。安定した力を発揮する居飛車党で各棋戦の上位の常連であることはもちろん、今季は振り飛車の作戦も多様するなど幅広い戦型を指しこなす。早指しにも高い適性を見せ、3年連続4回目の出場となった今期のJT杯では伊藤匠叡王(22)、永瀬拓矢九段(32)に勝利し4強入りを決めた。

 両者の公式戦対戦はこれまでに15局あり、渡辺九段の10勝5敗。日本シリーズでの対戦は2018年7月に行われた1回戦で、ここでも渡辺九段が白星を飾っている。本棋戦では約6年ぶり、公式戦対戦も約1年ぶりとなる両者は、この舞台でどのような戦いを見せるのか。決勝進出を掛けた大きな一番に注目が集まっている。

 JTプロ公式戦は前年覇者、タイトルホルダー、賞金ランキング上位者から12人が選出されるトップ棋士たちによるトーナメント戦。前年大会は藤井JT杯覇者が決勝戦で糸谷哲郎八段を破り、2連覇を達成した。持ち時間は各10分、切れたら1手30秒未満、各5分の考慮時間。
(ABEMA/将棋チャンネルより)