ハーマンインターナショナルは9月19日、完全ワイヤレスイヤホンの新フラッグシップモデル「JBL TOUR PRO 3」を発表しました。その様子を、発表会の様子とともにレポートします

↑会場入り口にはJBL TOUR PRO 3の巨大モックアップが用意されていました。新製品発表にあわせ、特別に製作したそうです

 

昨年発売の従来モデル「JBL TOUR PRO 2」は、フラッグシップ相当の高音質に加え、タッチディスプレーを搭載したスマート充電ケース、ハイブリッドノイズキャンセリングなど、ユニークさと品質の高さで大きな話題を呼びました。後継機となるJBL TOUR PRO 3は、旧モデルの大まかな仕様を踏襲しつつ各部をブラッシュアップした、シリーズの”完成形”とも言えるモデルに仕上がっています。

 

記事のポイント

フラッグシップモデルでありながら、ケースのタッチディスプレーなど所有欲をくすぐる仕様も大きな魅力です。ハイレゾ対応など従来モデルより多機能化しており、外ではスマートフォンにBluetooth接続、家では充電ケースをオーディオジャックやUSB Type-C経由でPCに接続し、充電しつつトランスミッター機能でPCオーディオを楽しむといった切り替えが容易なのも嬉しいポイント。

 

高いノイキャン性能と納得の高音質。USB接続でも使える多機能性にも注目

↑JBL TOUR PRO 3。従来モデルでも特徴的だったケースの前面ディスプレーが大型化・多機能化しています

 

Bluetoothバージョンは5.3を採用。従来モデルからの大きな変更点として、JBL TOUR PRO 3ではドライバーが刷新されました。同社イヤホンとして初めて、バランスドアーマチュアドライバー+10mm径ダイナミックドライバーのデュアルドライバー構成とし、深みのある低音、バランスの取れた中音域、洗練された高音域の再生をうたいます。周波数特性は20Hz〜40kHz。また、コーデックはSBCとAACに加え、旧モデルでは非対応だったLDACに対応したことで、ハイレゾ音源を楽しみやすくなりました。また、LE Audioやその標準コーデックでもあるLC3にも後日対応予定です。

↑フォームイヤーチップは装着時に素材が膨らみ、高い遮音性を実現します

 

また、「ハイブリッドノイズキャンセリング2.0」は、環境に合わせたリアルタイム補正フィルターの適用計算を強化。ユーザーに合わせたアクティブノイズキャンセリングを可能としたほか、JBLで初めてフォームイヤーチップを採用するなど、装着時の高い密閉性なども実現しています。ちなみに通話用マイクは合計6つを内蔵。通話者の声と環境ノイズを正確に集音し、解析することでクリアな通話品質を確保するとのことです。

↑発表会会場では実際にスマートフォンとJBL TOUR PRO 3を使った試聴が可能でした。後述するトランスミッター機能のデモも実施されています

 

発表会場では実際にJBL TOUR PRO 3を使ってコンテンツを試聴する機会が設けられました。まず驚くのが、イヤホン装着時の静粛性の高さ。ノイズキャンセリングは標準でオンになっているのですが、もともとの密閉性の高さも合わせ、イヤホンを装着するだけでそこそこ大きな環境音までがほぼ聞こえなくなります。このまま耳栓として使用できるレベルなので、音楽や映像コンテンツの音声に集中したい人にはうってつけでしょう。環境音を取り込むアンビエントモードも用意されているため、外出時、特に移動中などはそちらを利用した方がいいと思います。

 

音質は非常にクリアで、低音から中音域、高音まで調和が取れています。余計な環境音がシャットアウトされているせいもあるのでしょうが、それぞれの楽器やボーカルのサウンドがハッキリと聴き取りやすいのが大きな魅力だと感じました。どこかの音域が突出するわけでもなく、全体的に粒立ちのよいサウンドを楽しめるイヤホンという印象です。

↑歴代のTOUR PROシリーズがズラリ。JBL TOUR PRO 2からはデザインにそこまで大きな変更もなく、正統進化といった趣があります

 

公称バッテリー駆動時間は、Bluetooth接続時でANCオフだと最大44時間(イヤホン本体のみ約11時間+ケースによる充電約33時間)、ANCオンだと最大32時間(イヤホン本体のみ約8時間+ケースによる充電約24時間)とのこと。1日外出しながら使うような運用でも2〜3日は保つなら十分と言えます。本体重量は約6.1gと、イヤホンとしては少々重めかもしれませんが、実際の装着時にはそこまで負担は感じませんでした。ただし、充電ケースの重量が約73gあり、携帯時はこれを一緒に持ち運ぶ必要がある点には留意すべきでしょう。

↑スマート充電ケースは再生中のコンテンツ情報やバッテリー容量、コーデックなども確認しやすくなりました

 

スマート充電ケースは、前モデルからスクリーンサイズを約29%大型化。従来は実現できなかった「待ち受け画面のバッテリー状態表示」「アルバム名と楽曲名の表示(日本語含む)」「電話入電時連絡先表示」「マルチポイントコントロール」「AURACAST接続」「コーデック表示」が可能になり、有用性が高まっています。細かい操作はイヤホン本体のジェスチャーでも対応できるのですが、バッテリー容量を手軽に確認できたり、電話の連絡先を表示してくれるのは便利そうです。

↑「拡張性」の項目で挙げられているトランスミッター機能を使えば、PCとUSB接続してイヤホンに音を飛ばしたり、複数人で同じコンテンツを共有できます

 

また、充電ケースは3.5mmのAUX接続またはUSB-C接続することで音声信号をイヤホンに送信できる「トランスミッター機能」を搭載。PCやスピーカーと手軽に接続できるので、自宅ではPCでUSB充電しながら利用する、なんてことも可能です。トランスミッターと「AURACAST」を利用すれば、複数台のイヤホンやスピーカーへ同時に音声を送信することも。できることの多さは随一で、フラッグシップらしい魅力と言えるでしょう。

 

JBL TOUR PRO 3の公式ストア価格は4万2900円で、10月3日から販売開始される見込みです。

↑そのほか、会場では車載オーディオの体験なども実施していました

 

↑JBL初のAVアンプ「MA9100HP」の展示も