タイタニック号観光ツアーの途中で圧壊した観光潜水艇「タイタン」の残骸を撮影した映像が公開される
2023年6月、大西洋に沈むタイタニック号を見学するために潜航した観光用潜水艇「タイタン」が沈没・圧壊し、乗員全員が死亡する事故が起きました。この事故についての公聴会が2024年9月16日から開かれており、海の底に沈んだタイタンの残骸を撮影した映像も公開されています。
Titan submersible hearing begins as questions over what went wrong linger
'All good here': Last messages revealed from Titan submersible before implosion: Coast Guard - ABC News
https://abcnews.go.com/US/titan-submersible-implosion-coast-guard-hearing-last-messages/story?id=113729878
Authorities Release Photo of Titan Sub Wreckage After Implosion
https://people.com/photo-shows-moment-titan-sub-wreckage-was-found-after-implosion-8713551
2023年6月19日、タイタニック号の沈没地点を観光するツアーに向かっていた潜水艇のタイタンが、深さ約1万3000フィート(約4000m)地点での通信を最後に消息を絶ちました。タイタンの乗員は、タイタンを運航していた深海探検ツアー会社「オーシャンゲート」のCEOであるストックトン・ラッシュ氏、イギリス人実業家のハミッシュ・ハーディング氏、フランス人探検家のポール=アンリ・ナルジョレット氏、パキスタン人実業家のシャーザダ・ダウッド氏、その息子のスレマン・ダウッド氏の5人でした。
5人を乗せてタイタニック号へ向かった観光用潜水艇が行方不明に - GIGAZINE
タイタン内部の酸素が尽きるまで乗員が生存している可能性があるとして、アメリカ沿岸警備隊を含む大規模なチームが捜索しました。しかし、6月22日に現場付近を捜索していた遠隔操作の無人潜水機により、タイタニック号の船首から約400m離れた海底でタイタンの残骸が発見されました。この件を受けて、オーシャンゲートはすべての探検および商業活動を停止しました。
タイタニック号観光潜水艦の残骸が発見される、乗員全員が死亡したと沿岸警備隊 - GIGAZINE
そして2024年9月16日、アメリカ沿岸警備隊の海洋調査委員会が、タイタンの事故についての公聴会を開きました。この中でアメリカ沿岸警備隊は、海底に沈んだタイタンの残骸を撮影した2023年6月22日に映像を公開しました。
VIDEO: OceanGate Titan submersible tail cone seen at bottom of the ocean - YouTube
海底をライトで照らしながら捜索する潜水機の前方に、ロケットの先端のような形をした物体が見えます。
これが、タイタン後部の円錐(えんすい)形になった部分の残骸です。
船体は大破しており、内部の骨組みがむき出しになっているほか、何かのコードや積載物も周囲に散らばっています。
横に回ると、船体に書かれた「Ocean Gate TITAN」という文字がはっきりと視認できました。
公聴会は9月27日まで開かれる予定であり、オーシャンゲートのエンジニアや幹部など約20人が証言する予定です。最初の証人は、オーシャンゲートの元エンジニアリングディレクターであるトニー・ニッセン氏でした。ニッセン氏は2016年にオーシャンゲートに採用されましたが、開発や実験の段階でCEOのラッシュ氏と衝突したため、2023年の事故が起きる前には解雇されていました。ニッセン氏は、タイタンの安全性に疑問があったと証言しています。
また、オーシャンゲートの元請負業者だったティム・キャターソン氏は、事件当日の行動には危険信号がなかったとしています。その一方で、タイタンのカーボン繊維とチタン構造の完全性については疑念を持っており、ラッシュ氏にも10回以上は問題提起を行ったと証言しています。これに対してラッシュ氏は、「タイタンに取り組んでいるエンジニアが何人もいて、その全員が問題ないと言っている」として聞き入れなかったとのことです。