実家暮らしの独身40歳。両親は「自営業」をしており、引退後は「私の収入」と「両親の年金」で生活していけるか不安です。

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自営業の両親が仕事から引退したとき、収入が減少することを考慮すると、現状のままで生活が成り立つかどうかは、子どもとしては気になるところです。特に年金と自身の収入だけで、両親の老後を支えることができるかどうかは、大きな不安要素となるでしょう。 本記事では、一般的な家庭がどのように老後の生活を支えているのかを分析し、将来の生活に向けた具体的な対応策について紹介します。

両親の年金だけで足りる?

両親が引退し、家族全体の収入が自分の給与と両親の年金のみとなる場合、生活費をカバーできるかを考えてみましょう。
厚生労働省の「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均受給額は「月額14万4982円」、国民年金の平均受給額は「月額5万6428円」です。もし、自営業を始める前に会社員として働いていた場合、その期間に厚生年金を納めていたのであれば、両方支給されることもあります。
ただし、ずっと自営業をしていたのであれば、厚生年金ではなく国民年金のみの可能性が高いため、夫婦2人で「月額11万2856円」の年金収入が見込まれます。これに自分の収入を合わせた金額で、家計が成り立つかどうかを計算しなければなりません。
また、自営業者は、退職金も少ないか、全くないケースが多いため、年金額で月々の基本的な生活費をまかなうには、限界があるでしょう。家賃や住宅ローンの支払いがないとしても、光熱費や食費、医療費などの基本的な支出は避けられません。
さらに、予期せぬ出費や緊急事態に備えるための資金も必要です。年金だけでなく、その他の収入源や貯蓄が重要であることが分かります。
 

貯蓄はどの程度必要か?

年金だけでは不十分な場合、貯蓄が重要な役割を果たします。そのため、老後の生活を支えるために、どの程度の貯蓄が必要であるかを知ることが大切です。
総務省統計局の「家計調査報告(令和5年度)貯蓄・負債編」によると、65歳以上の無職世帯で1世帯当たりの平均貯蓄残高は「約2504万円」です。
貯蓄があれば、年金だけではカバーできない生活費をまかなうことができるでしょう。貯蓄の内訳をみると、定期性預貯金が「約846万円」、通貨性預貯金が「約754万円」、有価証券が「約480万円」、生命保険などが「約413万円」を占めています。
しかし、貯蓄額には大きな個人差があり、全体の34.1%が2500万円以上の貯蓄を持つ一方で、300万円未満の貯蓄しか持たない世帯も15.1%存在します。
両親の貯蓄額がどの層に属するかによって、引退後の生活が安定するかどうかが大きく変わるでしょう。十分な貯蓄があれば、年金だけではまかなえない支出をカバーすることができ、安定した生活を送ることが可能です。
 

家計を支えるためにはどうすればいい?

引退後の家計を安定させるためには、両親が引退する前に、できるかぎり貯蓄を増やすことが重要です。そのために、生活費を見直したり、収入を増加させるためにほかの職場で働いたりすることも、選択肢の一つになるでしょう。
例えば、パートタイムやフリーランスとして仕事をすることで、引退前の貯蓄額を増やすことができるだけでなく、引退後も家計を補うことができます。
さらに、投資や副業などの新たな収入源を模索することも考えられます。投資の場合、リスクを抑えた分散投資や、少額から始められる投資信託などが選択肢として挙げられます。これにより、年金や貯蓄に依存しすぎない家計を構築することができるでしょう。
 

家計の見直しをして収入源を増やそう

両親が引退し、自分ひとりの収入と年金だけで生活することは可能ですが、十分な余裕がないケースもあるでしょう。年金だけではなく、貯蓄やその他の収入源が必要となります。家計の安定を図るためには、事前の準備と計画が不可欠です。今後も家計を見直しながら、安定した両親の老後生活を支えていくことを目指しましょう。
 

出典

厚生労働省 令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
総務省統計局 家計調査報告(令和5年度)貯蓄・負債編 2023年(令和5年)平均結果の概要(二人以上の世帯)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー