元ビリギャル「地頭に関係なく学力を伸ばす法則」
私が学力を急激に伸ばせたのは「私の地頭がよかったから」なんかではなく、一定の法則に基づいていたからです(サンクチュアリ出版提供)
「勉強ができないのは地頭が悪いせい」だと諦めていませんか。しかし、『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』のモデルであるさやかさんは、「地頭に関係なく、誰でも学力を伸ばせる法則がある」と言います。さやかさんの著書『私はこうして、勉強にハマった』の中から、一部抜粋してご紹介します。
合格できたのは「地頭」がよかったからではない
「ビリギャル」こと、さやかです。私は『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』の主人公モデルです。勉強は学年ビリで、偏差値は30以下、学校でも問題児として知られていました。
しかし高校2年の夏、塾講師の坪田信貴先生との出会いで勉強に目覚めました。周囲の反対をよそに、髪を黒くし、メイクをやめて、勉強に没頭。結果、偏差値を40上げ、慶應大学に合格しました。
でもその後、自分でも驚くようなことが起こりました。周囲から突然「さやかちゃんは元々地頭がよかったんだよ」と言われるようになったんです。その言葉に疑問をもった私は、「本当にそうなのか?」を確かめたくて、アメリカのニューヨークにあるコロンビア教育大学院っていうところに通って「認知科学」っていう学問を研究することにしました。
そして、ついにわかってきてしまったんです。誰でも「勉強ができる人」になれる方法が。私が学力を急激に伸ばせたのは「私の地頭がよかったから」なんかではなく、一定の法則に基づいていたからです。その具体的なノウハウの一部をお伝えします。
あるとき、がんばったはずのテストで思ったより点数が悪かったのに、クラスメートは高得点だったとします。そのとき、「自分は頭が悪いから勉強は苦手だ」「あの子は元々頭がいいから」と思い込んでしまうと、勉強する気が失せてしまい、結果として努力をしなくなります。
これを「固定マインドセット(Fixed Mindset)」といいます。「生まれつきの能力は変えられない」と考えることで、失敗を自分の能力不足と捉え、心が折れやすくなってしまうのです。
一方で、「成長マインドセット(Growth Mindset)」を持つ人は、「努力次第で能力は伸ばせる」と信じ、失敗経験から学び、改善して成功率を高めます。
このように、どのようなマインドセットを持っているかで行動が変わり、結果も変わるのです。あなたがこれから勉強できるようになるためには、まずはこの「成長マインドセット」をインストールしてもらう必要があります。
地頭とは暗記力ではない
私は「ビリギャル」として知られるようになってから、「地頭がよい」とよく言われるようになりました。「地頭って何?」と思い、調べてみると、日本独自の言葉で、最初にこの言葉を世の中に広めたのは、ビジネスコンサルタントの細谷功さんだそうです。
具体的には「考える力」のことを指し、この考える力は、「知的好奇心」「論理的思考能力」「直感力」「仮説思考能力」「フレームワーク思考」「抽象化思考力」の6つに分けられるそうです(『地頭力を鍛える』細谷功著より)。
つまり、「地頭がよい」とは知識の多さや暗記力ではなく、物事を考える力のこと。この力はトレーニングで鍛えられるため、「生まれつき」や「変えられないもの」ではありません。決して「生まれつき持って生まれた知能レベル」みたいなことではないし、「どんなに努力したって変わらない」ものでも全然ないんです。
「理解すること」と「思考すること」をクセづけた勉強法を続けることによって、あなたの「地頭力」は自然と向上していきます。だから、今日から、「勉強=暗記」というイメージは捨てましょう。
私がコロンビア大学院で認知科学を学んでわかったことの1つは、「勉強できるようになるためには、何よりモチベーションが大事」ということです。
モチベーションがないまま、イヤイヤ勉強しても効率が悪く、結果も出にくいです。
では、どうすればモチベーションが生まれるのか? 研究によると、モチベーションには「適度な期待値があること」と「本人がそのタスクをすることに高い価値や意味を感じていること」の2つの要素が不可欠です。
期待値: 自分がそのタスクを達成できるという自信。
価値: そのタスク自体や結果にどれだけの魅力を感じるか。
勉強のやる気を出すためには、「不純な動機」でもいい
例えば、簡単な問題に答えて好きなお菓子がもらえるゲームでは、問題が解ける自信(期待値)が高く、報酬(価値)が魅力的だと、積極的に参加します。逆に、問題が難しく報酬が魅力的でないと、参加する意欲は低くなります。
何かを達成するためには「自信」と「魅力」のバランスが重要で、これを意識することでモチベーションを高めることができます。
まず、目標に対する価値を自分自身が強く感じること、例えば勉強の先に得られる「ご褒美」や「成果」に魅力を感じることが必要です。
私の例で言えば、あるとき嵐の櫻井翔君が慶應大学に通っていることを知り、「私もそんなキラキラした人たちが通っている慶應に行きたい!」と思ったことが勉強へのモチベーションになりました。
大切なのは、他人や世間の価値観ではなく、「自分だけの価値ある目標設定」をすることです。
モチベーションが湧かないのは、目標に対して価値を見出せていないからです。
なんで受験をするのか、なんでその学校に合格したいのか、なんのために勉強するのか。自分の「ワクワク」や「好き」を軸に、真剣に考えてみてください。
「親がうるさいから早く一人暮らしをして自由になりたい」「憧れの東京で暮らしてみたい」こんな不純な動機でも、自分にとってはものすごい価値が出ることもあります。周囲の目は気にせず「自分を本当にやる気にさせてくれる勉強の動機」を探してみましょう。
(さやか : 元ビリギャル本人)