「自分に呪いをかけないで」 還暦オーバーの書店員 派手だけど真似したくなるコーディネートを披露
10代から20歳頃にかけ多くの人がファッションに目覚める。
流行を追う人もいれば、あえて過去のカルチャーを研究したり、自己流のアバンギャルド路線に走る人も。しかし就職や結婚、出産などライフステージの変化に伴い、大半の人はいつの間にか情熱を失い、"いつまでも若くない"と言わんばかりの無難な装いに落ち着いてしまうものだ。
そんな世知辛い日本のファッション事情だが、今SNS上で話題になっているファッショニスタは奈良県在住の書店員はる。さん(61歳)。彼女は2019年頃から、Twitter(現X)やInstagaramといったSNSに自身のコーディネート写真を投稿。その自由かつポップな感性が大きな注目を集めているのだ。
はる。さんのファッションは単に派手というわけではない。高級ブランドや特定の年代の古着で身を固めるのではなく、現代の若者のアンテナに刺さりそうなアイテムを巧みに組み合わせ、無理なく自分流のお洒落を表現しているのだ。楽しそうに日々の装いを紹介する彼女の投稿を見ていると「いくつになっても好きな服を着ていい」という当然のことに気付かされる。
はる。さんに話を聞いた。
ーー「投稿に励まされる」といった反応が多いですね。
はる。:私よりも若いのに「着たい服を着れなくて…」という方が多くて驚いています。年齢や体型を気にして好きな服を着ないなんてもったいないですよね。「自分自身に呪いをかけてしまってはダメよ〜」と言いたいです。
ーー普段のコーディネートで意識していることは?
はる。:「引き算する」を心がけています。私はカラフルな服が好きですが、足し算ばかりすると胸やけしそうなコーディネートになってしまうので、派手だけど品があるコーディネートになるようにしています。派手なオバサンになるのは簡単かもしれませんが、派手なんだけど真似したくなるコーディネートになっていればいいなぁと思います。
ーーはる。さんにとってファッションとは?
はる。:私は服を着るということは自分自身の表現手段でもあると思っています。投稿を通して、若い方たちに年齢を重ねることも悪くないと思って貰えたら嬉しいです。
◇ ◇
若い頃からファッション好きだったはる。さんにも、育児との兼ね合いで地味で目立たない服装をしていた時期があったという。しかし、50代でアイドルの推し活を始めたことで徐々に変化。今では世代を問わず多くの人と交流し、SNS以外にも変身企画「パッとしてグー」(ヘンとネン)の連載など、さまざまな形でファッション活動を展開している。
一度きりの人生、自分で自分を縛ってしまうことほどもったいないことはない。はる。さんの生き方は大きなヒントとなりそうだ。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)