「麻生派の派閥パーティーの担当者は、自民党の経理局にいた厳格な経理マン。それだけに、派閥議員の政治資金についても、厳しく目を光らせていました。麻生さんが、この問題で自信満々だったのも、担当者への全幅の信頼からだったんです」

 こう肩を落とすのは、旧麻生派時代から麻生派に所属する議員の秘書だ。

 2022年、政治資金規正法違反で、衆議院議員だった薗浦健太郎氏が罰金などの略式命令を受けた事件。元秘書が東京地検特捜部の取り調べに対し、薗浦氏が所属していた麻生派(当時「為公会」、現「志公会」)が開いた2017年の政治資金パーティーで、380万円を裏金にしていたことを証言していたと、9月2日、毎日新聞が報じた。

「派閥の政治資金パーティーをめぐる “裏金問題” は、これまで安倍派と二階派、岸田派が立件されていましたが、麻生派で裏金の存在が明らかになったのは初めてです。

 麻生派の還付金は、山東(昭子元衆議院議長)派が合流した2017年以降、突然、報告書への記載が始まりました。それ以前のぶんについては、還付金の存在そのものがあやふやだったのですが、今回、その存在が確認されたということです」(前出・議員秘書

 麻生派は、これまで政治資金については報告書に記載されたものがすべてだとしており、2017年以前の還付金が報告書に記載されず、所属議員の裏金となっていたのであれば、これまでの説明が虚偽だったことになりかねない。

 出馬を表明している麻生派の河野太郎デジタル相も、「(麻生派は)これまでクリーンにやっていたという認識だ」と、具体的な回答を避けた。

 毎日新聞によれば、旧麻生派に所属していた閣僚経験者は、同紙の取材に対して、「不記載が違法だという認識がある議員はいなかった」「後になって違法と言われても困る」と、裏金の存在を暗に認めたという。

「麻生派のパーティーが大規模になったのは、やはり2017年に山東派が合流してからです。パーティー後に、控室で還付ぶんの現金入り封筒が配られることもありましたが、経費を差し引いた残りを分配しているという認識でした。

 薗浦さんの事務所の事情はわからないが、少なくともたくさん(パーティー券を)売ったら、そのぶんだけバックされるという認識ではなかったです」(別の麻生派議員秘書

 今も麻生派が存続できているのは、裏金問題に連座していないことが、最大の理由に他ならない。その前提が消えた以上、麻生派が一気に危機に陥るのは自明だ。

「控室で現金の入った封筒を配る際は、議員の目の前でやっていたので、麻生派の議員が知らなかったわけがない。

 ただ、封筒の中のカネがどういう趣旨のものなのか、多くの議員が知らなかった可能性はあります。麻生さんにとって、派閥は “第2の家庭”。このまま派閥が解消されるなら、引退もあるかもしれません」(同)

 裏金のことをわかっていたなら、なぜ言い出さなかったのか……。