健康になるためには「姿勢」を正したほうがいい意外なワケ
「健康になるためには「姿勢」を正したほうがいい意外なワケがあります」
そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
病は「気」から
「病は気から」という言葉は誰しも聞いたことはあるでしょう。
近年は身体の病気も「気」、すなわち、メンタルヘルスの悪化によって起こることが示されています。
うつ病になると高血圧や肥満症、炎症疾患などが起こりやすくなるとされます。
近年の研究によれば、精神疾患を患うことで「姿勢」も変わってしまい、それがキッカケになって心疾患などさまざまな病気のキッカケになっている可能性があるのです。
オーストラリアのブリスベンにあるクイーンズランド大学の研究チームによって実施された研究によると、統合失調症などの精神疾患を持つ人は「座ったまま」の生活や「前かがみ姿勢」である可能性が高く、前かがみ姿勢をずっと続けることで頸椎に影響を及ぼすそうです。
骨格のずれや首の痛み、肩こりなどの日常的な不快感を起こしやすく、慢性的な姿勢の問題からや心肺機能の低下まで引き起こすと報じられました。(註1)
最近だと、スタンディングデスクが徐々に浸透してきていますが、つねに座りっぱなしの生活をしていると、心疾患や脳卒中のリスクも高まってしまいます。(註2)
自分の姿を「見ること」から
このように、人間の身体は「姿勢」によって大きく影響を受けてしまいます。
たしかに考えてみると、気持ちが落ち込むとうつむきがちになったり、何となく体が重くなって動きが遅くなってしまいます。
元気だった人もうつ病になったり、ストレスがたまると、つい座りっぱなしになってしまうこともあります。
そんなときこそ、自分の姿を顧みて、いまより状況が悪化しないように「姿勢を正す」ことが必要なのかもしれません。
まずは、鏡などを使って、自分の姿を見るようにしてください。
そして、気づいたときには姿勢を正してみて、深く深呼吸をすることを取り入れてみましょう。
(本稿は、『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』の著者・精神科医いっちー氏が特別に書き下ろしたものです。)
参考文献
(註1)van de Meent, I., Koomen, L., de Boer, R. et al. Forward head posture associated with reduced cardiorespiratory fitness in psychotic disorders compared to autism spectrum disorder and healthy controls. Sci Rep 14, 17143 (2024). https://doi.org/10.1038/s41598-024-67604-7
(註2)Association Between Excess Leisure Sedentary Time and Risk of Stroke in Young Individuals. Stroke Volume 52, Number 11
https://doi.org/10.1161/STROKEAHA.121.034985
精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10〜20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。