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公共料金の支払い、宅配便の手配、通販で買った商品の受け取り……かつて“食品や日用品を買う場所”だったコンビニは、顧客のニーズに応えるべく、年々進化を重ねた結果、多岐に渡るサービスに対応するようになった。しかも、24時間営業でだ。それが全国で5.7万軒もあれば、毎日のように何かしらの事件が起こっても何ら不思議ではない。そこで、現役のコンビニ従業員兼ライターの筆者が体験した出来事を赤裸々に紹介していく。
今回のテーマは「コンビニのゴミ問題」だ。昨今ゴミを撤去する鉄道会社も増えているようだが、コンビニではそうもいかない。サービスの一環として粛々と処理する店員の気持ちを知っていただきたい。

◆ゴミを店内に設置したところで…

コンビニエンスストアは、日常生活に欠かせない存在だ。ゴミもさまざまな種類のゴミが捨てられる。最近では、多くのコンビニで燃えるゴミ、燃えないゴミ、リサイクル可能なゴミなどの、区分けがされている。しかし、いくら分別を促したところで、予想外のものが捨てられることが珍しくない。

重量に応じて処理費用がかかるため、ゴミが多ければ多いほどオーナーの負担は増えてしまう。防犯カメラを利用して悪質な投棄者を特定することもあるが、それでもほとんどの場合は店舗側が処理を強いられる。ゴミを店内に設置し、モラル向上を図る試みも行われているが、効果はまだ十分とは言えないのが現状だ。

バーベキュー花火大会のあとは、ゴミがあふれる

ここからは、筆者が対面して思わず驚いたゴミの実例を紹介する。

夏になると、バーベキュー花火大会後に訪れる客も多い。その結果、コンビニのゴミには宴の後の残骸があふれかえってしまう。特に驚くのは、使用済みの花火だ。袋に入れられているものの、手持ち部分がゴからはみ出していることがよくある。これは引火の危険性があり、非常に危険だ。幸いにも、店舗スタッフが早めに見つけて対処することができたが、一歩間違っていたらと思うと背筋が寒くなったものだ。

イベントのあとには、空の酒瓶や缶もよく目につく。なかでも腹が立ったのは、ゴミの横に放置されたワインの瓶。捨てたというより、むしろ置いていったという感じだ。ゴミの容量を超えてしまった結果とはいえ、それなら「家に持って帰ってくれよ」と思う。

◆「紙おむつ」や「生魚」が捨てられていた…

ペットボトルに入った吸い殻

厄介なのは、ペットボトルを灰皿代わりに使い、吸い殻を詰めて捨てる行為だ。ペットボトルの中に水が入っていない場合、引火の危険性があるので、店舗側で処理する必要に迫られる。吸い殻は別に捨てるルールがあるが、ペットボトルに詰められた吸い殻は処理が難しく、非常に手間がかかる。

使用後の紙おむつ

強烈だったゴミの一つが、使用後の紙おむつ。可燃ゴミの中に紛れて捨てられていたのだ。ニオイはそれほど強くなかったものの、一体どういう神経をしているのだろうか……。どういった人が捨てたのかはわからないが、直で触るわけにはいかないため、火ばさみでつかんで処理した。

生魚

見つけたときに絶句したのは、生魚が丸ごと捨てられていたとき。おそらくバーベキューでの残り物をそのままぶち込んだのだろう。「何でも捨てていい」という感覚が広がっていることを感じさせられた。処理する側の気持ちを無視し、ゴミはサービスだろ? みたいなある意味無責任さがはびこっている。

◆意外と多い「家庭ごみを捨てる客」

家庭ごみを平然と捨てる客もいる。さすがに、店側も注意せざるを得ない状況で、オーナーに報告する。なぜ家庭ごみが大変かというと、量が半端ではないからだ。レジ袋いっぱいに詰められたゴミを、投入口からは入りきらないから本体扉を開けて捨てていく。その光景が防犯カメラにばっちり映っていた。オーナーから注意してもらった結果、その客はこなくなった。さすがに、呆れを通り越して苦笑したものだ。

家に持ち帰って捨てるのが面倒くさいから、寄ったついでに捨てる気持ちも理解できなくはない。ただ、血の通った人間が片づけているということを知っておいてほしいと思う。

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日々雑多な業務をこなしていれば、ゴミがいつのまにか満杯になっていることも珍しくない。コンビニのゴミ事情は、店舗運営において非常に重要な課題であり、解決には客の協力が不可欠だ。この記事をきっかけに多少ご配慮いただけるようになれば幸いだ。

<TEXT/たける>

【たける】
サービス業一筋29年。大学1年生の時に大手ファーストフード店でアルバイトをスタート。その後中退し、中途入社。勤続21年ののち、コンビニ業界へ。