所属ジムで練習を公開した武居由樹【写真:浜田洋平】

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武居由樹が練習公開

 ボクシングのWBO世界バンタム級5位・武居由樹(大橋)が15日、5月6日に東京Dで行われるWBO世界同級王者ジェイソン・マロニー(オーストラリア)への世界初挑戦に向け、神奈川・横浜市内の所属ジムで練習を公開した。同門の世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥と元世界2階級制覇王者ルイス・ネリ(メキシコ)の歴史的一戦の興行に参戦。根強い不利予想を大歓迎した。戦績は27歳の武居が8勝(8KO)、33歳のマロニーが27勝(19KO)2敗。

 不利予想を覆すのが世界挑戦の醍醐味だ。武居は時折笑顔を見せるなどピリピリムードはなく会見。「減量もしっかりコツコツできています。相手も強い。だから、緊張感と危機感を持ちながらできている」。シャドー2回、サンドバッグ打ち2回を公開。リズムよく軽快な動きで汗を流した。

 王者マロニーは20年10月に米ラスベガスで井上に世界挑戦し、7回KO負け。21年8月に再起すると、井上が返上したWBO世界バンタム級王座を23年5月に獲得した。今年1月に初防衛成功。世界的モンスターに敗れたとはいえ、ハイレベルな実力を持つ再起後6連勝中の実力者だ。

 武居は3月8日に世界戦の発表会見を実施。「あの時(の実力)だと絶対に勝てない」といつも以上に集中し、短期間で成長できたことを実感した。元世界3階級制覇王者・八重樫東トレーナーは「この期間で引き出しが増えて勝率が上がった」と証言するが、「あくまでこちらは不利だと思っていきたい。リングで『あ、こんなもんなんだ』と思ってほしい」と挑戦者のメンタルの必要性を説いた。

大橋会長も後押し「世界挑戦は不利なもの。有利なのは井上尚弥くらい」

 相手より“下”の見方を嫌うボクサーも多いが、師匠の言葉を隣りで聞いた武居は「不利で大丈夫です」と歓迎。「危機感を持てます」と背筋を伸ばした。陣営の大橋秀行会長もこう後押しした。

「よく試合前に有利、不利ということを言いますが、世界挑戦は不利なものです。王者に挑戦するんですから。有利なのは井上尚弥くらい。その中で武居は面白い挑戦者。私は有利だと思っているので、周りの評価をひっくり返してほしい。スパーリングの状態もいいので期待しています」

 元K-1世界王者の武居は21年3月にボクシングデビューすると、22年8月の東洋太平洋スーパーバンタム級タイトルマッチで5回TKO勝ちし、競技転向5戦目で初のタイトル奪取した。バンタム級転向を見据え、23年7月には54.0キロ契約8回戦で勝利。昨年12月には3戦連続で井上の前座に入り、54.5キロ契約8回戦でデビュー8勝(8KO)の連続KO勝ちを続けてきた。

 K-1とボクシングで世界王者になった日本人はいない。1990年のマイク・タイソン以来34年ぶりの東京Dボクシング興行。「試合が近づくにつれて雑念を削って試合だけに集中していく。そこはいつも通り。ここで絶対に獲りたい」と王座奪取を誓った。

○…興行はAmazon プライム・ビデオにて「Prime Video presents Live Boxing」の第8弾として独占生配信される。井上と武居のほか、井上の弟のWBA世界バンタム級王者・拓真(大橋)が同級1位・石田匠(井岡)と2度目の防衛戦を行う。WBA世界フライ級王者・ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)が同級3位・桑原拓(大橋)と初防衛戦。同じ興行で世界戦4試合は国内最多3試合を超える規模となる。

(THE ANSWER編集部)