井上尚弥、ネリの“悪童回帰”にチクリ「志が低いですね」 対面時は優等生も「そっちが本物」
31歳の誕生日に練習を公開、5月6日に東京Dで激突
ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)が10日、神奈川・横浜市内の所属ジムで練習を公開した。5月6日に東京Dで元世界2階級制覇王者ルイス・ネリ(メキシコ)との防衛戦を予定。公開練習は試合10日ほど前が通例だが、今回は31歳の誕生日当日になった。悪童との歴史的興行へ、心境やコンディションを明かした。対戦発表会見では優等生ぶりを見せたネリだったが、米メディアの最新インタビューでは“悪童”ぶりが戻っていたことを問われた井上は、ネリが掲げていた目標に「志が低いですね」とチクリと指摘した。戦績は井上が26勝(23KO)、29歳のネリが35勝(27KO)1敗。
井上が順調ぶりをアピールした。公開練習ではシャドー2回、サンドバッグ2回をこなし、キレのある動きを披露。練習前には陣営の大橋秀行会長、父・真吾トレーナーと会見した。誕生日を祝われると「ありがとうございます。(心境は)変わらずですね。年は関係なくパフォーマンスは成長している。いいキャリアを積めていると改めて思います」とコメント。すぐに決戦ムードを漂わせた。
初めて世界王者になって10年が経った6日には、WBC独自ルールの試合1か月前計量をクリアした。スーパーバンタム級のリミットは55.3キロ。1か月前はリミットの10%、15日前は5%、7日前は3%が上限とされている。
サウスポーのネリは前に出て手数を出すタイプ。対する井上は2019年11月以来、7戦連続KOとライバルたちを葬り去ってきた。「何ラウンドかわからないけど、どのパンチでも倒せるように準備している。そうなるべく仕上げてます」とKO決着へ意欲を見せている。
ネリは2017年8月の山中慎介戦の薬物検査で陽性反応が出た。18年3月の再戦は大幅な体重超過でWBC世界バンタム級王座を剥奪。ともに勝利したが、日本ボクシングコミッション(JBC)から国内のライセンス無期限停止処分を受けた。海外でリング復帰し、20年9月にスーパーバンタム級で世界2階級制覇。今年2月、ネリ陣営はJBCに謝罪と資格回復を求める書面を提出。規定に基づき、処分が解除された。
3月の対戦発表会見で、ネリは「再び日本の地を踏めて嬉しい。申し訳なかったと謝りたい」と謝罪し、会場にいた山中氏とも握手で和解。優等生ぶりを見せたが、米メディアのインタビューでは大口を叩く普段のネリに戻っていた。井上は「そっちのネリが本物ですよね。この間のは何だったのか」と呆れていた。
ネリが井上、ムロジョン・アフマダリエフに勝てば引退だと語っていたことについて問われると「それだったら志が低いですね」とチクリ。東京Dのボクシング興行は1990年のマイク・タイソン以来34年ぶり。日本人がメインイベントを務めるのは初めてとなる。「10年目で東京Dは何かの縁。しかも大橋ジム30周年。必ず成功させないといけないし、そういう試合こそモチベーションを高く保ってパフォーマンスを発揮できる」と力強かった。
○…Amazon プライム・ビデオにて「Prime Video presents Live Boxing」の第8弾として独占生配信される。井上―ネリ戦のほか、元K-1王者・武居由樹(大橋)がWBO世界バンタム級王者ジェイソン・マロニー(豪州)に世界初挑戦。井上の弟のWBA世界同級王者・拓真(大橋)が同級1位・石田匠(井岡)と2度目の防衛戦を行う。WBA世界フライ級王者・ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)は同級3位・桑原拓(大橋)と初防衛戦。同じ興行で世界戦4試合は国内史上最多の規模となる。
(THE ANSWER編集部)