結婚

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日本では6割の夫婦が陥るといわれるセックスレス。都内の人気美容室に勤務する沙織さん(仮名・45歳)は、今年結婚15周年目。しかし、夫婦関係は完全に冷えきったまま。大好きで結婚した夫とレスになってしまったきっかけとは?

12歳年上。バブル世代の遊び慣れた夫だった

沙織さんが夫と結婚したのは30歳のとき。当時、沙織さんが美容師として勤務していたお店のお客さんだった夫とは、半年の交際を経たスピード婚でした。

「職場の人間関係に悩んでいたときだったんです。なにをしていても涙がこぼれそうになってしまうようなギリギリの精神状態が続いていたときに出会ったのが夫。突き抜けた明るさに助けられましたね。ひと回り年上で、ちょうどバブル世代。休日は買い物に出かけるくらいしかやることがなかったけれど、夫とつき合うようになってからは、昼間にクルーズをしたり、夜は夜景を見にドライブへ行ったり、あちこちに連れ出してくれたんです」

親が経営していた不動産屋を継いだ二代目の夫は、水曜休み。沙織さんのお店の休みとも合わせやすく、夜型で生活リズムが似ていたのもよかったといいます。

●あまり冷静ではいられなかった自分がいる

「彼はほかの人とは全然違った」と語る一方で、「精神状態があまりよくなくて、冷静な判断ではなかったのかも」とも振り返る沙織さん。

「心が不安定なときに大きな決断をするものじゃなかったなって、今だから思うんです。たぶん、元気なときなら、そこまで夫に魅力を感じなかったかも。スピード婚なんて本葉におすすめできません」

結婚の翌年に長女を出産。そして年子で次女を授かったのですが、幸せだったのはこの頃まで。この2人目の妊娠中から夫婦の関係に異変が起きました。

結婚3年目にして完全レスになった理由

「年子妊娠だったので、まだ上の子の夜泣きが大変な時期とおなかが大きい時期が重なってしまいました。ある晩、私が一人で一生懸命子どもをあやしていたんです。同じ寝室で寝ていた夫がむくっと起きたので、抱っこを変わってくれるのかなって期待したんですが、なんと枕を投げつけてきました。『うるせぇな、早く泣き止ませろよ、母親なんだから』って」と沙織さん。

一瞬、なにが起きているのか理解できず、固まってしまったといいます。徐々に、「あ、私は今枕をぶつけられたんだ」ってわかってからも、寝不足で頭がぼーっとして、酷いことをされているという自覚すらもてなかったそう。これが始まりでした。

●勝手すぎる上下関係

夫は家事も育児もほぼできない人。産後の育児をほぼワンオペでこなす中で判明した、2人目の妊娠…。もはや物理的に動けなくなっている沙織さんに対して、「いい身分だよな、働かなくて昼寝ばかりしているだけの毎日で」とモラハラ的な言動も増えていきました。

「私が仕事を休んでいることで、勝手に上下関係をつくられた感じでした。極端な言い方ですが『働いてお金を稼いでいる俺はエライ』というのが夫の言い分。けれど、いきなりドンって殴られたりしていたわけじゃなく、徐々にエスカレートしていった感じなので、自分がDVされているってなかなか気がつけなかったんです」

病院で医師がドン引き。DV被害に気づいた

2人目の出産時、沙織さんの入院にともない、夫が長女の育児や家事を担当。夫なりにストレスのかかる出来事だったのかもしれません。が、医師もドン引きの驚愕の事態が発生しました。

「出産のための一週間の入院中、長女のお世話を頼んだだけなのに、夫は育児ストレスが爆発。病院にお見舞いに来た夫が、『なんでもかんでも俺に押しつけるな』と言いながら、いきなりテーブルに置いてあった缶詰を持って殴りかかってきたんです。先生が『暴力はやめてください』ってすぐ止めに入ってくださったんですけれど、そのあとなにが起きているのかたくさんヒアリングされました。説明しながら、ハッとしました。ずっと私が悪いのかと思っていたけれど、そうか、違ったんだって」

この件がきっかけでDV被害に遭っている自覚がもてたという沙織さん。夫と距離をおくことになり、性行為を断ると、さらに暴言と暴力が激化。産後レスと育児ノイローゼ、夫のDVが重なり、レスになってしまったのです。
暴力をふるう夫から、乳飲み子を連れて逃げたお話はまた次回。

パートナーからの暴力のほか、怒鳴る、侮辱する、脅すなどの行為、また性行為を強要する、避妊しないこともDVに相当します。警察のほか、以下の相談窓口も利用できます。
DV相談ナビ #8008(はれれば):急ぎの場合(配偶者暴力相談支援センター)
DV相談+(プラス)0120-279-889(つなぐ はやく)