「iPhoneとウィンドウズ」連携する最新テクニック
iPhoneユーザーでWindowsを使う人にとって便利なのが、スマートフォン連携。4月に、ついにWindows 11の全ユーザーが利用できるようになった。連携設定もQRコードを読み込むだけと簡単だ(筆者撮影)
iPhoneと相性のいいパソコンといえば、同じアップルが作るMacを思い浮かべる人が多いだろう。確かに、iPhoneとMacは、同じApple IDでログインでき、メッセージや写真なども簡単に同期することが可能だ。コピペ時のデータを共有することもできる。一方で、iPhoneの販売台数とMacのそれを比べると、iPhoneのほうが圧倒的に多いのも事実だ。数の上では、スマホはiPhoneでパソコンはWindowsという構成で利用している人のほうが主流と考えられる。
こうした状況の中、Windowsを開発するマイクロソフトも、徐々にiPhoneとWindowsパソコンの連携機能を強化している。iPhoneを接続するためのiTunesがWindowsのアプリストアで提供されているのはもちろんのこと、OSの標準機能としてiPhone連携が可能なアプリも徐々に増えている。また、アップル側もiCloudをウェブベースで提供している。
Windows側のiPhone連携機能とブラウザーからもアクセスできるiCloudを利用すれば、Macと同等までとはいかないものの、かなり深い連携も可能になる。ここでは、iPhoneとWindowsパソコンを連携させる技の中で、比較的新しいものをピックアップしてお届けしていく。Macを使っていないからといって諦めず、これらの設定を試してほしい。
「スマートフォン連携」がついにiPhoneに対応
Windows 11には、「スマートフォン連携」というアプリがある。これは、文字どおりスマートフォンとWindowsパソコンを連携させるためのもの。ただ、これまではAndroidのみの対応で、すべての機能を利用できるのはGalaxyなど一部ブランドのスマホに限定されていた。このスマートフォン連携がアップデートされ、4月からWindows 11の全ユーザーがiPhoneをペアにできるようになった。
Windows 11が最新の状態なら、特にアプリなどを新規でインストールする必要はない。Windowsボタンを押し、すべてのアプリの中から「スマートフォン連携」という名称のアプリを探し、起動するだけだ。一方で、iPhone側にはアプリをインストールする必要がある。App Storeを開いたら、検索などで「Windowsにリンク」というアプリを探してみよう。料金は無料だ。
アプリの準備が整ったら、iPhoneとWindowsパソコンの両方を結び付けるためのペアリングを行う。まず、Windows側のスマートフォン連携アプリを開き、画面の指示に従って設定のためのQRコードを表示させる。次に、iPhoneのカメラを開いてそのQRコードを読み込み、Windowsにリンクアプリを起動させる。これで、ペアリングは完了だ。
スマートフォン連携アプリがiPhoneに対応。通知や電話の発信などをパソコンから行える(筆者撮影)
Windows側からできる操作は、電話の発信やメッセージの読み書き。ただし、画像、動画の取り扱いやグループメッセージは利用できない。
iPhoneの通知がWindowsに届くのも便利な機能だ。アプリから通知が届いたとき、わざわざiPhoneを取り上げ、ロックを解除してその中身を読む必要がなくなる。iPhone側の連絡先を開くことも可能だ。
Galaxyなど一部のAndroidスマホはWindows側から本体を遠隔操作してアプリを起動したり、スマホ側のストレージに保存された写真を表示したりといったことまで可能だが、残念ながらiPhone版にはこれらの機能が提供されていない。スマホ側のOSの深い部分までパソコンからアクセスする形になるため、今後提供されるかどうかも未知数だ。とはいえ、通知がパソコンで表示されるだけでも十分便利。電話の発信もしやすくなる。iPhoneとWindowsを併用している人は、試してみることをお勧めしたい。
写真連携は標準の「フォト」アプリで
Android版のスマートフォン連携とは異なり、iPhone版だと、同アプリでiPhone内のストレージに保存した写真を閲覧することはできない。ただし、ほかの手段を使えば、Windows側の標準アプリでiPhoneの写真を表示することは可能だ。Windows 11に内蔵されている「フォト」というアプリを使う方法がそれに当たる。このアプリには、iCloud連携機能が用意されている。クラウド経由にはなってしまうが、Windowsに保存した写真とiCloudの写真を一元管理できるのは魅力だ。
フォトアプリを立ち上げると、画面左に「iCloudフォト」というメニューが用意されていることがわかる。ただし、このままだと連携はできない。ここにiPhoneで撮った写真を表示するには、「Windows用iCloud」というアプリが必要になる。フォトアプリの「iCloudフォト」をクリックすると、画面上に「Windows用iCloudを取得」というリンクが表示されるため、ここからアプリをインストールしよう。
2022年11月には、WindowsのフォトアプリにiCloudフォトが統合された。写真を一元管理できる(筆者撮影)
インストールが済み、連携が終わると、iCloudフォトの欄にiPhoneで撮り、iCloudにアップロード済みの写真がギャラリーに追加され、Windowsパソコンでも表示されるようになる。ただし、あくまでクラウド経由で写真を同期しているだけになるため、iPhone側からiCloudにアップロードが完了していない写真や動画は表示されない。この点は、スマートフォン連携アプリでAndroidを接続したときとの違いだ。
一方で、フォトアプリから写真を開き、明るさや色合いなどを編集したあと、その写真をコピーとしてiCloudフォト側に直接保存することも可能だ。元々、iCloudフォトが同期しているフォルダーから写真を開けばできたことだが、フォトアプリがiCloudフォトに対応したことで、より直感的な連携が実現した。
また、Windows用iCloudをインストールすると、iCloud Driveにパソコン側からアクセスできるようになったり、連絡先やパスワードを同期させられたりといったメリットがある。iPhoneとWindowsパソコンを同期させ、それぞれのデータのやり取りが多い人にとっては、要インストールのアプリといえそうだ。
ブラウザーベースで利用が気軽なiCloud.com
iPhoneとWindowsを連携させる際に欠かせないWindows用iCloudアプリだが、これだけではできないことも多い。例えば、「メモ」アプリの同期はその1つだ。メールやカレンダーも対応している一方で、Outlookが必要になる。Windowsに標準搭載されているメールアプリやカレンダーアプリでは、iCloudのデータを直接読み込むことができない。このようなとき、もっと手軽にiCloud上のデータにアクセスできるのが、ブラウザーベースの「iCloud.com」だ。
利用方法は簡単で、まずEdgeやChromeなどのブラウザーでiCloud.comを開く。Apple IDとパスワードでログインすると、あたかもiPhoneのウィジェットが複数張られたような画面が表示される。ここで、例えばメモアプリで書いたメモをクリックすると、そのままブラウザーでiPhoneと同じようにメモを見たり、編集したりといったことができる。
iCloud.comは、2022年に全面リニューアル。iPhoneのウィジェットのようなタイルデザインを採用した(筆者撮影)
また、PagesやNumbers、Keynoteといったアップル純正のOfficeアプリも、iCloud.comから利用できる。Windowsユーザーの場合、マイクロソフトのOfficeをインストールしている人が大半だと思われるが、これらのアプリと100%互換性があるわけではない。iPhoneで表示した際にレイアウトなどが崩れてしまうことを防ぎたいときは、iCloud.comからアプリを開き、直接データを作成すればいいだろう。
ここに表示可能なアプリは限定されているが、ウィジェットのようなタイルを並び替えたり、削除したりといった編集にも対応している。例えば、カレンダーやメモをよく使う場合、そのアプリをタイルとして表示しておき、あとはアプリ一覧からアクセスすれば、作業がスムーズになるはずだ。
先に挙げたiCloudフォトの写真やiCloud Drive上のデータも、iCloud.comで表示できる。ブラウザーベースのため、パソコンにアプリをインストールする必要がなく、複数台を利用している場合には設定が容易になる。よく利用する人は、ブックマークに記録したり、タスクバーにピン留めしておいたりすることをお勧めしたい。
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(石野 純也 : ケータイジャーナリスト)