写真:Newscom/アフロ

 作家で法政大学教授の島田雅彦氏が、4月20日、自身のTwitterで安倍晋三元首相の銃撃事件をめぐる発言を謝罪した。

 騒動の発端は、4月14日に生配信した、自身のインターネット番組「エアレボリューション」で、2022年7月の安倍元首相銃撃事件について、「こんなことを言うとひんしゅくを買うかもしれないけど、今までなんら一矢報いることができなかったリベラル市民として言えばね、せめて暗殺が成功してよかったと。まぁそれしか言えない」と発言したことだった。

 テロや殺人を容認したかのような発言に、SNS上では「本当に最低」「遺族に謝れ」と批判が殺到した。

 批判を受け、島田氏は自身のTwitterで発言を謝罪した。

《ネット放送「エアレボリューション」での軽率な発言により、大きな誤解を招いたことを反省し、今後、慎重な発言に努めることを改めてお伝えします。》

《また大学の講義で殺人やテロリズムを容認するような発言をした事実は一切ないこと、言論に対する暴力的封殺であるテロリズムにも、先制攻撃や敵基地攻撃など専守防衛を逸脱する国家的暴力行為にも反対であることを明言します。》

 ただ、続けてこうも付け加えた。

《その上で夕刊フジが私の釈明文を掲載しつつも、誤解を拡大し、炎上を煽る紙面作りをしたことに対し、また記事に扇動され、法政大学や在学生に対する卑劣な中傷を書き込んだ者に対しても強く抗議します。》

《彼らにネガティブ・キャンペーンを展開する余地を与えたのは私の不徳の致すところであり、いわれなき中傷を受けた学生諸氏、教員、職員の皆さんにご迷惑をお掛けしたことを陳謝するとともに、皆さんの名誉を守る努力を以て償いたいと思います。》

 発言が批判されるなか、島田氏は夕刊フジの取材に対し、《テロの成功に肯定的な評価を与えたことは公的な発言として軽率であった》《安倍元首相襲撃事件には悪政へ抵抗、復讐(ふくしゅう)という背景も感じられ、心情的に共感を覚える点があったのは事実》などと長文コメントを寄せている。

 夕刊フジでは、島田氏のコメントを掲載したのち、ジャーナリストの有本香氏や法政大学の見解も併記している。こうした紙面づくりについて、島田氏は「ネガティブ・キャンペーン」と主張しているようだ。

 だが、島田氏に対する同情の声は少ない。それどころか、今回の謝罪をもってしても、騒動の鎮火とはならなかったようだ。

 島田氏のTwitterアカウントを見ると、最新ツイートには21日17時の時点で1500件以上ものリプライが寄せられている。見る限り、大半は島田氏を批判するツイートだ。

《「暗殺が成功してよかった」という非人道的な発言に対する批判を「ネガティブキャンペーン」にすり替えるその振る舞いは、ペンを握り、教壇に立つ方のそれとはとても思えませんが。》

《これをネガティブキャンペーンと言っているという事だけでも反省していない事がよく分かる。》

《言い訳が幼稚だし、報道される側になると途端に被害者側になろうとするし。》

《ネガティブキャンペーンを展開する余地を与えたって、批判されて当然の発言に対して当然の反応をされただけの話。完全に自業自得だ。》

 批判は、なかなか収まりそうにない。