オリジナルゲーム機器の開発で多数の特許を取得していた

 (有)楠野製作所(TDB企業コード:582018052、資本金800万円、大阪府泉大津市旭町18−2−3501号、登記面=大阪府大阪市住之江区平林南2−10−41、代表楠野博美氏)は、2022年12月2日に大阪地裁岸和田支部へ自己破産を申請し、同月19日破産手続き開始決定を受けた。

 破産管財人は大住洋弁護士(大阪市北区中之島2−2−2大阪中之島ビル8階、小松法律特許事務所、電話06-6221-3355)。財産状況報告集会期日は3月6日午後2時。

 当社は、1968年(昭和43年)6月創業、76年(昭和51年)9月に法人改組したアミューズメントゲーム機の開発業者。ひもを切り景品を落とす「バーバーカット」、リングにかかった景品を落とす「リングマジシャン」、穴を通して景品を獲得する「スイングランディング」などゲームセンターに設置されているアミューズメントゲーム機(プライズゲーム機)の開発を行っていた。

 独自のノウハウを生かし、自社オリジナル機種として約14機器を企画開発。実用新案や特許を20件ほど取得するなど、企画力や製造技術は取引先から高く評価されていた。国内の大手ゲーム機卸業者やアミューズメント施設のほか、欧米やアジアなど海外にも販路を構築。海外向けの販売が好調に推移した2011年2月期には年売上高約3億8400万円を計上していた。

新型機の台頭や海外模倣品の流入により経営悪化、コロナ禍の外出自粛が追い打ちに

 しかし、国内のアミューズメント施設の減少や新型機の台頭に伴い受注は減少傾向で推移。また、海外で模倣品が出回ったことで海外向けの販売も落ち込んでいた。その後、水族館や大手総合スーパー向けの販売が伸長したことで一時は売り上げが回復したものの、新型コロナウイルス感染拡大以降は外出自粛のあおりを受け、得意先からの受注が減少。2021年8月期(決算期変更)の年売上高は約1億2000万円にまで落ち込んでいた。

 その間、収益面は部材の仕入れ価格の上昇や外注費の増加などにより低調に推移していた。そのため、役員報酬や人件費など経費圧縮に努め経営の立て直しを図っていたものの業況は回復せず、先行きの見通しが立たなくなり事業継続を断念。2021年10月ごろには実質的な事業を停止し、2022年8月にはHPにて業務停止のお知らせを公表していた。なお、一部の特許権についてはすでに売却している。
 
 負債は債権者約10名に対し約1億7000万円。