番組はまだ2年目を迎えたばかりだが、秋元自らが取材拒否のカレー屋を訪れた様子をオンエアしたり、番組で紹介した米を販売したり、地方の希少な食材を使ったレシピや食リポをYouTubeにUPしたりするなど、食通の秋元ならではの「食」に関するプロジェクトが先行して進んでいる印象だが、今後は、地元のスター的な「人」をフックアップし、秋元がプロデュースしていく展開にも期待したいところ。地方創生を担うラジオ番組としても注目していただきたい。

■『村上RADIO』(パーソナリティ・村上春樹) TOKYO FM(JFN系列38局) 毎月最終日曜日 19:00〜19:55 ※一部、放送時間が異なる局もあり

最後は、小説家・村上春樹がパーソナリティを務める番組、その名も『村上RADIO』。2018年8月にスタートし、現在は、毎月最終日曜日に放送中だ。メディアにあまり出ないどころか、これまでは肉声でのインタビューも受けたことがなかったという村上春樹。世界中で愛されている村上が、パーソナリティとして自身の声で思いを綴り、ディレクターとして選曲もしている。しかも、毎回テーマに応じて、自身が持つレコードから選曲して流すというこだわりよう。番組ホームページには、これまでのオンエア楽曲リストが、村上のコメント付きでアーカイブされているので、是非ともそのこだわりを感じて欲しい。

番組はこれまで40回以上放送されているが、今年3月、『戦争をやめさせるための音楽』というテーマで放送された回が、ギャラクシー賞ラジオ部門で優秀賞を受賞。さらに、日本民間放送連盟賞 東京地区審査番組部門でラジオエンターテイメント番組1位も獲得している。混沌とした今の時代に、村上春樹が伝えたい言葉と届けたい音楽が、小説やエッセイではなく、ラジオという形で毎月1回、発信され続けているのだ。これは是非ファンならずともタイムリーに受け止めてみて欲しい。

このように、ラジオでは、偉大で意外な大物が自身のレギュラー番組を持ち、毎週(毎月)、自身の言葉で喋っている。今回の3番組は、北海道から沖縄まで全国のラジオ局で放送中だ。是非、改めて、地元ラジオ局の番組表をくまなくチェックしてみて欲しい。もしかしたら、他にもあなたにとっての意外なラジオスターが見つかるかも知れないから。

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