01年、美浜・五木ひろしふるさとマラソンに参加した田中

写真拡大

田中義剛(64)が代表取締役社長を務め、生キャラメルで有名な「花畑牧場」(北海道中札内村)。2月24日に労使トラブルが報じられて以降、3月14日には花畑牧場側がベトナム人従業員3名を刑事告訴したことが明らかになるなど、余波が広がっている。

「今年1月26日に38名のベトナム人従業員が、寮の水光熱費を一方的に値上げされたとして抗議のストライキを実施。ですが“ストライキの報復”で不当な雇い止めをされたとして、会社側に撤回を求めたと報じられました。一方で、会社側は『不当な争議行為』としてベトナム人従業員4名に、計200万円の損害賠償請求をしたことが判明したのです」(全国紙記者)

しかし2月28日、同社はホームページ上に「ベトナム人従業員に関する一連の報道について」と題する声明を発表。ベトナム人従業員に対する不当な雇い止めを否定し、雇用の終了は“契約上のもの”として次のように説明している。

《当社では、ベトナム人従業員の受入を約1年半前からはじめ、現在135名のベトナム人従業員を受け入れています。そして、この135名のベトナム人従業員は、毎年3月15日を契約期間の終期となっており、更新する者については毎年3月16日から翌年3月15日までの1年間の契約を締結することになっています》

次に、「寮の水光熱費が月7,000円から1万5,000円に値上げされた」と報じられたことにも言及。“コミュニケーション上の齟齬があった”として、従業員側が「月7,000円の固定費」と認識していたと説明。値上がりした理由については、大寒波の影響等により冬場の暖房費が高騰したことを挙げている。

各メディアによれば、3月14日に第1回目の団体交渉が行われたが、双方の主張は平行線に終わったという。

一方で同社は、一部切り取られた田中の音声データが拡散されたとして、ベトナム人従業員3名を名誉毀損などの疑いで刑事告訴したとも報じられた。このことについて札幌地域労働組合の鈴木一副委員長は、「立場の弱いベトナム人を刑事告訴するのは脅しだ」と批判しているという。

■ベトナム人従業員との契約期間が異なる文書が提出されていた

そんななか、新たな続報が。3月15日、共同通信が「ベトナム人契約期間で異なる書類 入管に提出、花畑牧場を当局調査」と題する記事で、《入管当局にベトナム人側と交わした書類とは異なる契約期間の文書が提出されていた》と報じたのだ。

「昨年3月15日付で交付された『労働条件通知書』では、契約期間は今年の3月15日までとなっていたそうです。確かにこれは、会社側が2月28日にホームページで説明した通りです。しかし昨年10月20日付で入管に提出された『雇用条件書」では、期間が今年の10月31日までとなっていたのです。入管は虚偽の届出の可能性があるとして、調査を開始しました」(前出・全国紙記者)

同社は3月14日に再びホームページ上で労使トラブルの経過を報告し、問題視されている契約期間について釈明。

特定技能及び特定活動の在留資格を有するベトナム人の受け入れについて、同社は’20年9月から登録支援機関「FUN To FUN 株式会社」に支援業務を委託してきたという。

その上で「労働条件通知書」の契約期間が「本年3月15日までになっていた」と認め、次のように説明している。

《ベトナム人等との間での書面等のやりとりは全て FUN To FUN 社を通じて行っていたため、当社は本年2月4日に改めてFUN To FUN社の担当者に確認し、担当者からは「契約期間の終期が3月15日で問題ない」との回答を得たうえで、契約期間の終了に向けた今回の対応を進めていました。

ところが、その後、当社の手元にある「労働条件通知書」の記載とは異なる契約期間の終期が記載された「雇用条件書」がFUN To FUN社を通じて出入国在留管理庁に提出されていたことが発覚しました》

■14年前「やり方が乱暴だった」と話す田中に美輪明宏から“公開説教”も

ますます深刻化する労使トラブル。’94年に「花畑牧場」を開業してから、現在の規模に成長するまでは紆余曲折あった。

「もとはチーズの生産から始まりましたが、転機となったのは’07年に『生キャラメル』が大ヒットしたこと。タレントである田中さんの知名度も奏功し、メディアで大きく取り上げられ北海道みやげの定番となりました。ですが商売の成功とは裏腹に、田中さんは当時も従業員との間でトラブルがあったことを明かしていました」(テレビ局関係者)

それは’08年10月放送の『国分太一・美輪明宏・江原啓之のオーラの泉』(テレビ朝日系)に、田中がゲスト出演した時のこと。番組冒頭で「生キャラメル」が話題にのぼるなか、田中は「従業員が30人も辞めて、1人しか残らなかった」時期があったと打ち明けたのだ。

自らの素行に原因があったとして、「乱暴だったんですよ、自分が、やり方が。(従業員たちが)辞めていって、本当に当然だと思います」と振り返った田中。一時は牧場の閉鎖まで考えたというが、“最後の仲間”が彼を支えてくれたことで「従業員が3年で500人も増えた」と語っていた。

そんな経営者としての振る舞いを、美輪明宏(86)と江原啓之(57)から“公開説教”されたのだ。

美輪に「相手の気持ちを考えないで、自分の感情だけで物を言っていたのね」と投げかけられると、田中は「いや、全部そうでした。経営者としても、最悪でした」とコメント。

懺悔する田中の話に耳を傾ける美輪は、こう指摘したのだった。

「こうやってお話してると穏やかだけど、仕事のことで注意したりすると、ものすごくキツくおなりになるところが見えるのね。何気なく本当に一生懸命になって仕事のことを言ってるんだけど、それが向こうにとってはね、恨みになる人がいるのよね」

そして、神妙な顔で田中を諭した。

「会社が大きくなったらね、根性や精神論だけじゃ成立しないんですよ。あくまでも今度は、あなたの今までの情念、根性、そういうものは置いておいて、理性だけ。理性ですべて計算して、人心掌握術でカッときたときでも、いったん(怒りを)飲んで、改めて頭が冷えたところで、『これは、こうでこうだろう。だから、こうしなさいよ』と(冷静に説明する)。それが経営者の、つまり帝王学なんですよ」

また腑に落ちないことがあると、1人で農業団体に抗議しに行くとも明かしていた田中。江原からも「美輪さんがおっしゃった理性で、感情は抜いて、理性で会社もきちっとして」と、感情的になる性格を諌められていた。

経営者としての覚悟を諭されていた田中。今回のトラブルをめぐって“コミュニケーションの問題”にも言及しているが、美輪から授かった心得を生かして、騒動が早期に解決されることを願いたい。