最近、幼い子供が犠牲になる事件を耳にする。たとえ犯人がその子の両親だったとしても、私たちはもはやあまり驚かなくなっている。子供を深く愛し育てる母親の方が、今でも大多数を占めているはずだ。だがこういったニュースのせいか、両親の育て方における愛情不足が取りざたされているのも悲しい事実だ。

 そんな時、ちょっと気になる調査が厚生労働省から発表された。「05年度乳幼児栄養調査」によると、1〜3歳の乳幼児の約1割が朝食を食べないことがわかった。「ほとんど食べない」も2%いるのだそう。ちなみに小学5年生ではなんと4%が朝食をとっていないという。

 とある公園で子供と遊んでいる母親たちに話を聞く機会があったので、こんな質問をしてみた。“失礼ですが、朝ごはんをお子さんに毎日食べさせていますか?”

 「えぇ、もちろん。自分は食べないですけど、子供にはちゃんと毎日作っていますよ」(29歳ママ・子供2歳)という答えが圧倒的に多かったのだが、そんな中、「まだ、幼稚園に入っていないので起きるのは10時くらい。そうなると、昼ごはんと一緒になっちゃいますね〜」(23歳ママ・子供3歳)という声もあった。

 そもそも朝ごはんを子供に食べさせないと、どんな影響があるのだろうか。成長において大切な時期なだけに、ひとつに「肥満児」になる可能性が高くなるといえる。子供のうちから“生活習慣病予備軍”になってしまうのだ。

 朝食を食べないと肥満になりやすくなる、その理由は明確だ。人間は食事をとる間隔が長くなると、体が「今度いつ栄養をとれるかわからないから、今のうちエネルギーを貯めておこう」と、余分に脂肪を貯める働きを持っている。朝食を抜くとこの働きに拍車がかかり、食事を抜いているのにも関わらず、かえって太る原因になってしまうというわけだ。

 また、脳の働きを活性化させるには体温上昇の為のエネルギー補給が必要になる。朝食を食べないでずっと血糖値が低い状態が続くと、脳や神経のエネルギー源であるブドウ糖が不足して、元気が出なかったり、イライラやだるさ、集中力に欠けるといった事にもつながる。このような精神的な「ストレス」と「肥満」は、生活習慣病の大きな要因になる。

 乳幼児は食べることと寝ることが仕事のようなもの。睡眠と朝ごはんはしっかり与えないと病気にも、肥満にもなってしまう恐れがある。乳幼児のお母さんの育て方がその子の後の成長に影響することを考えると、やはり真剣に考えなければならない問題と言えるだろう。(平田桃子/verb)