「勝利の『V』」「笑いの『w』」など文字1つに意味を持たせる習慣は数多くありますが、ウクライナに侵攻を開始したロシアではアルファベットの「Z」を多数の軍需品に描いています。ロシア語のアルファベットに「Z」がないにもかかわらず、なぜ突然使われ始めたのか、一体どのような意味があるのかといった疑問について、海外メディアのThe Guardianが解説しています。

Why has the letter Z become the symbol of war for Russia? | Russia | The Guardian

https://www.theguardian.com/world/2022/mar/07/why-has-the-letter-z-become-the-symbol-of-war-for-russia

2022年2月24日にロシアがウクライナに侵攻を開始する直前から、ロシアの戦車や軍用トラックに「Z」という文字が描かれ始めたことが確認されています。このZは侵攻が開始されるとますます増加し、さまざまな物品に装飾されるようになりました。

日本にも負けられない戦いの前に決意を示す「Z旗を掲げる」などという言葉がありますが、今回のロシアの場合は特に決まった意味はないとのこと。



代表的な説としてあげられるのは、ロシア軍が駐留している地域を区別するために描く「Zapad(西)」を意味しているというもの。もう一つの説は、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Zelenskyy)大統領を表すものであるというものです。これらはあくまで推測でしかないとのことですが、戦場ではウラジーミル・プーチン大統領を表すと推測されている「V」という文字が描かれていることも確認されています。

一方、ロシア国防省は「Za pobedu(За победу:勝利のために)」という意味を示すと示唆する投稿をInstagramに行っています。

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侵攻が始まるやいなや瞬く間に「Z」がロシアで広がり、ロシアの実質国営メディアとされるロシア・トゥデイ(RT)は「Z」と刺しゅうされたTシャツやパーカーの販売を開始したほか、アパートに大きく描かれたり、ホスピスの従業員と患者が人文字で形作ったりと、各地で「Z」が受け入れられているとのこと。また、当局は「自治体の地名をZを含むよう改名すること」を許可したとも伝えられています。



このシンボルはロシア国外でも示されており、ドーハで開催された体操の種目別ワールドカップにおいて、ロシアのイヴァン・クリアク選手が胸元に「Z」の印を付けて出場したことが伝えられています。なお、この行為を受け、国際体操連盟はクリアク氏の懲戒手続きを開始するよう体操倫理財団に求めています。

Ivan Kuliak: Russian gymnast wears Z to back invasion as he appears alongside Ukrainian Kovtun Illia - YouTube

ただし、もちろんロシア人全員にZが好意的に受け入れられているわけではなく、一部の人々は「Zachem(どうして?)」という抗議活動を行っていることなどが伝えられています。