Intel
Intel

インテルは4日(米現地時間)ノートPC向けの第12世代Coreプロセッサを発表しました。その一環として新世代のハイエンド製品となるCore i9は16インチMacBook Pro搭載のM1 Maxチップを凌ぐ史上最速のモバイル向けプロセッサだと主張されています。

第12世代Core i9は、最高で6つの高性能コア(処理性能を重視)と8つの高効率コア(省電力性能を重視)の計14コアを搭載するモデル。対してM1 Maxは、8つの高性能コアと2つの効率化コアを備えています。

CPUコア数の構成に違いがあるものの、いずれも「ふだんは高効率コアを中心として消費電力を抑え、高負荷のタスクをこなす場合は高性能コアをフル稼働」という近年のスマートフォン向けSoCと同じ設計思想に基づいていると言えます。

インテルによれば第12世代Core i9はターボブースト時の最高クロック数が5.0GHz、消費電力は最大115ワットに達するとのこと。これらはともにM1 Maxを凌ぐものであり(AnandTechによれば、M1 Maxの最高クロックは約3.2GHz)MacBook AirやMacBook Proなど熱容量が限られた筐体にとっては理想的とはいいがたくあります。

そしてインテルは「史上最速のモバイルプロセッサ」と題した性能と消費電力のグラフを公開しています。これは「SPEC CPU 2017」(CPU性能の比較に使われる定番ベンチマーク)によりバイナリをコンパイルして測定したものと明記されたものです。

Intel

このグラフは、第12世代Core i9がM1 Maxよりも高いワット(消費電力)当たりのパフォーマンスを達成したと主張しようとするもの。しかし全般を見ると、M1 Maxはインテル製チップよりもはるかに消費電力が少ないと示す結果ともなっています。

米MacRumorsがこの結果につきコメントを求めたところ、インテル広報は「Specrate 2017 integer n-copy dataは、我々がクライアントのマルチスレッド性能を測るために使う優れたベンチマークであり、我々のデータは本テストにおいてCore i9-12900HKがM1 Maxプロセッサよりもワット当たりの性能が高いことを示しています」と回答したとのことです。

インテルの最新チップは確かに高速ではありますが、MacBook AirやMacBook Proのように持ち運びやすい(熱容量が限られる傾向のある)筐体で熱暴走することなく一定の性能を発揮するという条件下では、実用に適していないとも思われます。

さらにアップルは次世代のM2(仮)チップをあと数か月のうちに発表すると予想されており、再びワット当たりのパフォーマンスで抜き返す可能性もあります。

とはいえ、十分な熱容量が確保できる環境で、青天井の消費電力を許せるならば、インテル製チップの方がピークパフォーマンスにおいて優位にあることは事実でしょう。今年(2022年)6月までにAppleシリコン搭載Mac Proが登場するとの予想もありますが、お金にも電力にも糸目を付けないハイエンドのプロユーザー向けに今後もインテルベースの新型Mac Proが投入され続ける可能性も高そうです。

Source:Intel

via:MacRumors