宮城名物「おくずかけ」とは?由来や基本レシピをチェック
「おくずかけ」とはどんな料理?
宮城県の精進料理
「おくずかけ」は宮城県の郷土料理です。肉類を使わないため、精進料理として仏事にも作られます。
「葛」でとろみをつけることから、「お葛かけ」と呼ばれました。お彼岸やお盆には、ずんだ餅とおくずかけをセットにして、お供えするのも定番なのだそう。
おくずかけに欠かせない「温麺」とは
おくずかけに使用される「温麺(うーめん)」は、江戸時代の宮城県で誕生した麺です。胃病を持つ父のため、息子が油を使わずに作った麺が発祥。その息子の温情にちなんで、「温麺」と名付けられました。
入れる具材は家庭によっていろいろ
おくずかけに入れる具材は、地域や家庭によってさまざまです。基本の具材は、温麺と野菜、油揚げや麩など。季節の野菜や、各家庭で収穫した野菜を入れることもあります。
里芋、なす、さやいんげん、みょうがなどが定番の具材です。元は精進料理のおくずかけですが、家庭によっては肉類を入れることもあるのだそう。
野菜たっぷり。おくずかけのレシピ
調理時間:40分
※干ししいたけを戻す時間は含みません
野菜をたっぷり5種類使う「おくずかけ」です。とろみをつけたしょうゆ味の汁は、野菜と油揚げなどの具材から染み出たおいしさが特徴。肉類を使わないので、やさしい料理を食べたいときにぴったりですよ。
材料(4人分)
・温麺(うーめん)※……4人分
・干ししいたけ……5個
・にんじん……小さめ1本
・じゃがいも……1個
・ごぼう……1/3本
・さやいんげん……5本
・糸こんにゃく……100g
・麩(あれば豆麩)……10gほど
・油揚げ……1枚
・豆腐……1/2丁
・水(干ししいたけを戻す用)……1L
・しょうゆ……大さじ2と1/2杯~
・みりん……大さじ1杯
・水溶き片栗粉……片栗粉大さじ1杯+水大さじ2杯
※温麺とは、油を使わずに延ばしたそうめんの一種で、麺が短いのが特徴です。温麺がなければ、そうめんで代用しましょう。
作り方
下準備
・干ししいたけは、分量の水(1L)で戻し、薄切りにする(干ししいたけの戻し汁は、あとで使うのでとっておく)
・麩は水に浸して戻す
・こんにゃくは食べやすい長さに切り、沸騰したお湯で3分ほど下ゆでし、ザルにあげる
・油揚げは熱湯をまわしかけ油抜きをし、水気を切って、短冊切りにする
・じゃがいもは小さな乱切り、にんじんはいちょう切り、さやいんげんは食べやすい長さの斜め切りにする
・ごぼうはささがきにして、水にさっとさらす
・豆腐はさいの目切りにする(温麺にかけて食べるため、みそ汁に入れるときよりも、だいぶ小さめに切るのがポイント)
作り方
1. 鍋に干ししいたけの戻し汁と、じゃがいも、にんじん、ごぼう、しいたけを入れ、中火にかけて沸騰させる
2. 火を弱めて、具材がやわらかくなるまで煮る
3. にんじんがやわらかくなったら、油揚げ、糸こんにゃく、麩、豆腐を入れ、ひと煮立ちさせる
4. みりんとしょうゆを加え、少し煮込んでから味見をする(物足りないと感じたら、しょうゆを大さじ1/2杯ずつ加えて、味を調える)
5. さやいんげんと水溶き片栗粉を加えて、鍋全体をさっと混ぜるとろみがついたら、火からおろします。
6. 温麺を記載のゆで時間より早めにザルにあげ、器に盛る
7. 温麺の上に、煮込んだ具材をたっぷりかけて完成(とろみのついた汁も一緒に注ぎ入れる)
おいしく作るコツ
素朴なおくずかけは、食材の味わいがしっかりと出る料理です。そのため油揚げの油抜きや、糸こんにゃくの下ゆでなど、下ごしらえを丁寧にするのがおいしく作るコツ。また、干ししいたけの戻し汁を活用するのも、味に深みを出す秘訣です。
郷土料理「おくずかけ」を作ってみて!
疲れを癒したいと思った日のごはんは、「おくずかけ」にしませんか?おくずかけの素朴なおいしさには、ほっと肩の力が抜けるような、不思議な魅力がありますよ。
ご紹介した基本のおくずかけレシピを参考に、冷蔵庫にあるもので作ってみてくださいね。宮城県のあたたかい郷土料理、おくずかけから元気をもらいましょう。