収監、挫折、資金難…。苦境を乗り越えた経営者たちの心を燃やす言葉たち
まさに嵐が吹き荒れている時代だ。
この危機をチャンスと捉えて業績を伸ばす企業もあれば、変化に対応できずにいる企業もある。
これまで社会に大きな影響を与えてきた、そして今も与え続けている企業のリーダーたちは、幾度となく危機と向き合ってきた。その時に彼らはどのような気概を持って乗り越えたのか。それはリーダーたちが発する言葉に表出する。
『運を逃さない力 苦境を乗り越えた名リーダー44人の言葉』(桑原晃弥著、すばる舎刊)は、豊田章男、スティーブ・ジョブズ、小林一三ら、苦境を乗り越えた国内外の44人のリーダーたちの言葉を集めた名言集。シンプルながら、力強く、そして心を燃やす一言がずらりと並んでいる。
ここでは、第3章の「自分を信じる・夢を信じる」から、3つの名言とその解説をピックアップしてご紹介しよう。物事が上手くいかないと、自信を失ってしまうことがある。それでも前に進まなければいけない。そんなときに響く言葉たちだ。
■「成功は、失敗を繰り返しながら、少し進んだ先にある」(安藤百福)
日清食品創業者で「世界の食文化を変えた」と評される安藤百福。彼の人生は失敗の連続だった。終戦後には脱税を疑われ2年間拘置所に収監され、その後新しくできる信用組合の理事長になったものの、破綻。自宅以外のすべての財産を失った。
それでも彼は「失ったのは財産だけ」と開き直り、次はラーメンの開発に挑む。食品開発の経験がない百福だったが、これでもかと試行錯誤を繰り返し、1年間の研究の末に日本初の即席めん「チキンラーメン」を生んだ。成功は繰り返した失敗の先にある。それは百福自身の人生が体現している。
■「1日1%の改善が、大きな飛躍を生む」(三木谷浩史)
楽天の創業者である三木谷浩史氏。97年に彼が「楽天市場」を開設したとき、出店数はわずか13、利用したユーザー数は30人足らず、月の売上は18万円という惨憺たるものだった。でも、1人でも買い物をしてくれている人がいる。三木谷氏はひるまずに考え続け、改善を続けた。「1日1%のわずかな改善であっても、1年続ければ元の37倍になる」と信じていたのだ。
その後、楽天は成長を続け、創業から1年後には出店数が100店超、2年目の98年末には320店と順調に成長し、2018年度にはグループ全体で売上高1兆円を達成する大企業になったのである。
■「苦しい時に、何を捨て、何を守るかで成長は決まる」(ジェフ・ベゾス)
新型コロナ禍の巣ごもり消費でアマゾンにお世話になっている人も多いだろう。そのアマゾン創業者であるジェフ・ベゾス氏は2度の逆境を経験している。一度目は1994年、創業時の資金調達。インターネットそのものがまだ理解されない時代に、インターネットで本を売るビジネスを理解してもらうのは、とても難しかったのだ。
二度目の逆境は2000年のITバブル崩壊だ。アマゾンの株価は21ヶ月連続で下落し、「ネット時代のスケープゴート」になってしまった。ベゾス氏の周囲からは人が去り、プレッシャーも日増しに強くなる中で、それでも「顧客第一」を貫くように社員を叱咤激励。そして、赤字覚悟で人気書籍の値引きを敢行する。どんなに苦しくても「顧客サービス」を貫いたベゾス氏の姿勢は、結果として新たな顧客の獲得を生んだのだった。
◇
今、名経営者、名リーダーと言われている人たちも、決して順風満帆な道を歩んできたわけではない。ホンダ創業者の本田宗一郎は「苦しい時こそ、大きな夢を語る」と言っているが、苦しい時こそ大事にすべきものを決して手放さず、失敗を恐れずに前を見据えて少しでも進もうと這い上がってきたのだ。
うまく事が運ばないと、心も後ろ向きになってしまう。ただ、それでも自分の弱さを克服し、前に進もうと思えるかどうか。イーロン・マスク氏はこう述べる。「息をしている限り、絶対ギブアップしない」。こんな苦境だからこそ、リーダーたちの言葉を胸に刻みたい。
(新刊JP編集部)
【関連記事】
危機でも成長し続ける会社と、危機に対応できない会社。その違いはどこにある?
開業医が自身の経験に基づいて語る、あまり知らない「医療法人経営」の実態
この危機をチャンスと捉えて業績を伸ばす企業もあれば、変化に対応できずにいる企業もある。
これまで社会に大きな影響を与えてきた、そして今も与え続けている企業のリーダーたちは、幾度となく危機と向き合ってきた。その時に彼らはどのような気概を持って乗り越えたのか。それはリーダーたちが発する言葉に表出する。
『運を逃さない力 苦境を乗り越えた名リーダー44人の言葉』(桑原晃弥著、すばる舎刊)は、豊田章男、スティーブ・ジョブズ、小林一三ら、苦境を乗り越えた国内外の44人のリーダーたちの言葉を集めた名言集。シンプルながら、力強く、そして心を燃やす一言がずらりと並んでいる。
■「成功は、失敗を繰り返しながら、少し進んだ先にある」(安藤百福)
日清食品創業者で「世界の食文化を変えた」と評される安藤百福。彼の人生は失敗の連続だった。終戦後には脱税を疑われ2年間拘置所に収監され、その後新しくできる信用組合の理事長になったものの、破綻。自宅以外のすべての財産を失った。
それでも彼は「失ったのは財産だけ」と開き直り、次はラーメンの開発に挑む。食品開発の経験がない百福だったが、これでもかと試行錯誤を繰り返し、1年間の研究の末に日本初の即席めん「チキンラーメン」を生んだ。成功は繰り返した失敗の先にある。それは百福自身の人生が体現している。
■「1日1%の改善が、大きな飛躍を生む」(三木谷浩史)
楽天の創業者である三木谷浩史氏。97年に彼が「楽天市場」を開設したとき、出店数はわずか13、利用したユーザー数は30人足らず、月の売上は18万円という惨憺たるものだった。でも、1人でも買い物をしてくれている人がいる。三木谷氏はひるまずに考え続け、改善を続けた。「1日1%のわずかな改善であっても、1年続ければ元の37倍になる」と信じていたのだ。
その後、楽天は成長を続け、創業から1年後には出店数が100店超、2年目の98年末には320店と順調に成長し、2018年度にはグループ全体で売上高1兆円を達成する大企業になったのである。
■「苦しい時に、何を捨て、何を守るかで成長は決まる」(ジェフ・ベゾス)
新型コロナ禍の巣ごもり消費でアマゾンにお世話になっている人も多いだろう。そのアマゾン創業者であるジェフ・ベゾス氏は2度の逆境を経験している。一度目は1994年、創業時の資金調達。インターネットそのものがまだ理解されない時代に、インターネットで本を売るビジネスを理解してもらうのは、とても難しかったのだ。
二度目の逆境は2000年のITバブル崩壊だ。アマゾンの株価は21ヶ月連続で下落し、「ネット時代のスケープゴート」になってしまった。ベゾス氏の周囲からは人が去り、プレッシャーも日増しに強くなる中で、それでも「顧客第一」を貫くように社員を叱咤激励。そして、赤字覚悟で人気書籍の値引きを敢行する。どんなに苦しくても「顧客サービス」を貫いたベゾス氏の姿勢は、結果として新たな顧客の獲得を生んだのだった。
◇
今、名経営者、名リーダーと言われている人たちも、決して順風満帆な道を歩んできたわけではない。ホンダ創業者の本田宗一郎は「苦しい時こそ、大きな夢を語る」と言っているが、苦しい時こそ大事にすべきものを決して手放さず、失敗を恐れずに前を見据えて少しでも進もうと這い上がってきたのだ。
うまく事が運ばないと、心も後ろ向きになってしまう。ただ、それでも自分の弱さを克服し、前に進もうと思えるかどうか。イーロン・マスク氏はこう述べる。「息をしている限り、絶対ギブアップしない」。こんな苦境だからこそ、リーダーたちの言葉を胸に刻みたい。
(新刊JP編集部)
【関連記事】
危機でも成長し続ける会社と、危機に対応できない会社。その違いはどこにある?
開業医が自身の経験に基づいて語る、あまり知らない「医療法人経営」の実態