「JR難波」や「JR総持寺」などJR西日本の「JR〇〇」といった駅を除くと、アルファベット入りの駅名は珍しいものです。中でも特徴的なのは京急久里浜線の「YRP野比」駅。「YRP」は何を意味するのでしょうか。

「JR〇〇」を除き珍しいアルファベット駅名

 日本の鉄道駅名は、漢字やひらがなで表記されるものが大半です。しかし近年はJR山手線の新駅「高輪ゲートウェイ」などに見られるように、カタカナを用いたものも増えています。これらは周辺の施設や再開発地区の名前にちなんで付けられることが多いです。


京急線で使用されている2100形電車(画像:photolibrary)。

 アルファベットを用いた駅名も少数ながら存在します。関西本線の「JR難波」、東海道本線の「JR総持寺」など、JR西日本の路線には「JR」を冠する駅がありますが、「JR」以外だと、京急久里浜線に「YRP野比(わいあーるぴーのび)」という駅が。「野比」は周辺の地名ですが、「YRP」は何を意味しているのでしょうか。

 結論をいうと、「YRP」は情報通信技術の研究開発拠点「横須賀リサーチパーク(Yokosuka Research Park)」の略です。駅北西方向にそのエリアが広がっています。

駅の開業当初「横須賀リサーチパーク」はない

 横須賀リサーチパークは東西約1.7km、南北約700m、およそ58万8000平方メートル(東京ドーム約13個分)の広さがあります。1997(平成9)年10月に開設され、国際的な電波・情報通信技術を研究する公的機関や、国内外の企業の研究所、大学の研究室なの機関が集まり、最先端の研究開発が行われています。


YRP野比駅の駅名標(画像:Photock)。

 そのようなエリア最寄りのYRP野比駅ですが、1963(昭和38)年の開業当初は野比駅を名乗っていました。横須賀リサーチパーク開設後の1998(平成10)年4月1日、地元住民から「世界に向けて情報発信するYRPの最寄り駅としてふさわしい駅名に変えてほしい」という要望があったため、駅名に「YRP」を加えたといいます。

 なおアルファベットを含む駅名はほかにも、2019年4月に開業したJR常磐線の「Jヴィレッジ」駅(福島県楢葉町)があります。ちなみに電停名では、広島電鉄の「JA広島病院前」電停(広島県廿日市市)が該当します。いずれも付近の施設名を由来とした駅名です。

【ストリートビュー】「YRP」交差点名は略さずカタカナ表記