セレモニーの様子

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 米国アカデミー賞公認、アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア2020」(SSFF&ASIA)のアワードセレモニーが27日に明治神宮会館で開催され、チャーリー・マントン監督のイギリス映画『11月1日』がグランプリの「ジョージ・ルーカス アワード」輝いた。

 今年で22回目を迎える本映画祭もいよいよフィナーレ。『スター・ウォーズ』のヒットメーカーの名を冠した「ジョージ・ルーカス アワード」は、SSFF&ASIAの「インターナショナル部門」「アジア インターナショナル部門」「ジャパン部門」という3つのコンペティション部門の各優秀賞の中から選出された1作品に与えられる映画祭のグランプリ作品となる。

 グランプリを獲得した『11月1日』は、息子を殺した男の死刑執行を見届けた母親が、男への復讐心と、娘との関係の溝に悩むさまを描き出した24分42秒の作品。本作の受賞理由として、「25分という尺を感じさせない力強さがあり、ストーリー、演出、キャスティングなど総合点の高い作品であった。登場人物たちがそれぞれリアルで人間臭く、感情がヒリヒリと伝わってくる作品。伏線の張り方やエンディングまでのストーリー展開も素晴らしかった」とアナウンスされている。

 今年の公式部門審査員は、和泉元彌、犬山紙子、筒井真理子、ジェフリー・バウアーズ、深田晃司監督の5名が担当。審査員の深田監督は「率直に素晴らしい作品だと思いました。わたしがいつも映画を観ていていいなと思うのは、映画を観て共感できること以上に、映画の中に理解できない他者がいると思った時なんです。それはわたしたちの日常にある、人との距離感。夫婦だろうが友人だろうが、横にいる人の考えってわからないですよね。なんとか理解しようとしてコミュニケーションをとるんだと思うんですが、それと同じような結びつきが、スクリーンと観客の間にあったと思う。登場人物が共感性を必要としないから、何だろうと思う。だからとても素晴らしかったと思います」と講評。筒井も「本当に素晴らしい作品。役者さんのひとりひとりが本当に素晴らしくて。主演のお母さまは、ずっと怒っているんですが、その奥に深い悲しみを抱えているというのが伝わってきました。わたしもこういう役者になれたらいいなと思った作品でした。役者さんが素晴らしかったのは、監督が良かったからだなと思います」と絶賛した。

 マントン監督はロンドンを拠点に活動する脚本家兼監督。現在は初長編映画の開発中とのこと。この日の授賞式には残念ながらマントン監督は不参加となったが、ビデオメッセージで「一緒にお祝いできずにすみません」と残念そうな様子を見せていた。

 この日の授賞式には、女優・映画監督の小川紗良、EXILE HIRO、映画祭ナビゲーターのGENERATIONS from EXILE TRIBE(白濱亜嵐、片寄涼太、数原龍友、小森隼、佐野玲於、関口メンディー、中務裕太)、滝田洋二郎監督、小池百合子東京都知事らも出席した。(取材・文:壬生智裕)

■「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア2020」の主な結果

ジョージ・ルーカス アワード:『11月1日』(チャーリー・マントン監督/イギリス)

インターナショナル部門 優秀賞:『11月1日』(チャーリー・マントン監督/イギリス)

アジア インターナショナル部門 優秀賞/東京都知事賞:『授業の後で』(チャールズ・シウジー・ドン監督/中国・アメリカ)

ジャパン部門 優秀賞(東京都知事賞):『緑の雪』(古川原壮志監督/日本)

Cinematic Tokyo部門 優秀賞(東京都知事賞):『グッピー』(チャールズ・リチャードソン監督/オーストラリア)

CGアニメーション部門 優秀賞:『宇宙の恋』(ジョナサン・ランガガー監督/アメリカ)

第5回ひかりTVアワード:『多日想果』(大門嵩&ジョン・コックス監督/台湾・日本)

バイオジェン・アワード:『最後の試験』(カイ・シャンチャン監督/シンガポール)

U-25プロジェクト 優秀賞:『RETURN』(山口十夢監督/日本)

ノンフィクション部門 優秀賞:『カマリ』(サーシャ・レインボー監督/イギリス)