小さくしたことは正解!? サイズダウンが好印象だった車3選

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数少ないサイズダウンしたクルマを振り返る

 1990年代以降、世界的にクルマの大型化が顕著になりました。日本ではボディサイズと排気量による5ナンバー枠という制約がありますが、それでも大型化が進んでいます。

サイズダウンが正解だったクルマたち

 直近ではトヨタ「カローラ」がシリーズ初の3ナンバーになり、ホンダ「フィット」も「クロスター」が3ナンバーサイズとなり、話題となりました。

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 近年はエンジンのダウンサイジングが普及していますが、ボディサイズは大きくなっているといえます。

 一方、サイズダウンしたことでユーザーからも高く評価されたクルマも存在。そこで、サイズダウンが好印象だったクルマを、3車種ピックアップして紹介します。

マツダロードスター

初代のイメージに原点回帰した4代目「ロードスター

 1989年に発売されたユーノス「ロードスター」は、オープン2シータースポーツカーの人気を再燃させた立役者です。

 決してパワフルとはいえない1.6リッター直列4気筒エンジンを搭載していましたが、軽量でコンパクトなボディに優れた足まわりが相まって、純粋にドライビングの楽しさが感じられるクルマとして、世界に高い人気を誇りました。

 その後、排気量を1.8リッターに拡大し、3代目では2リッター170馬力のエンジンを搭載。重くなった車体でも高いコーナーリング性能を維持するため、全長4020mm×全幅1720mm×全高1255mmとシリーズ初の3ナンバーボディとなりました。

 高出力化と大型化はライバルに対抗するための処置として仕方のないことでしたが、マツダロードスターの原点に立ち返るとし、4代目を開発。

 エンジンを1.5リッターにダウンサイジングして、ボディサイズも全長3915mm×全幅1735mm×全高1235mmとワイド化しつつも全長を105mm短くしました。

 また、ボディ各部にアルミや超高張力鋼板を使い、3代目よりも100kgもの軽量化に成功し、エントリーグレードで990kgと1トンを切っています。

 また、前後重量配分を50:50として安定かつ高い旋回性能を実現し、初代ロードスターを彷彿とさせる軽快なドライブフィールを持つスポーツカーに生まれ変わりました。

ホンダアコード

スリムになったボディで軽快な走りを手に入れた6代目「アコード

 1976年にホンダ「シビック」の上位車種として発売された初代「アコード」は、3ドアハッチバックのモデルとしてデビュー。後に4ドアセダンが設定されると「アコード=セダン」のイメージが定着します。

 1981年に登場した2代目からは、国産メーカーでは初となるアメリカでの生産を開始し、北米でホンダの主力車種となりました。

 そして、1993年に発売された5代目は、アメリカの安全基準に対応するために大型化され、日本ではシリーズ初の3ナンバー専用車となりました。

 ボディサイズは全長4675mm×全幅1760mm×全高1410mmと、先代から全幅が65mm拡幅されましたが、国内市場でも概ね好評に受け入れられます。

 その後、1997年に登場した6代目では「世界共通フレキシブル・プラットフォーム」という技術手法が取り入れられたことで、仕向地別にそれぞれのコンセプトを確立し、ボディサイズや形状などの地域最適化が可能になりました。

 その結果、国内仕様のアコードは、よりスポーティなイメージを高めるためと、市場環境に合わせる目的で全長4635mm×全幅1695mm×全高1420mm(SiR-T)とサイズダウンし、再び5ナンバーサイズへ戻されます。

 エンジンもトップグレードでは200馬力を誇る2リッター直列4気筒VTECを搭載し、取りまわしがよく軽快でキビキビ走るスポーティさを取り戻しました。

 さらに2000年には、より高性能なモデル「ユーロR」が登場。220馬力を発揮する2.2リッターエンジンを搭載し、実用性が高いスポーツセダンとして高い人気を誇りました。

脱ハイソカーが功を奏したモデルとは!?

●日産「スカイライン

スポーティさをより高めることに成功した8代目「スカイライン

 日産「スカイライン」は1957年にプリンスから発売された初代から数え、現行モデルが13代目となるモデルで、初代から一貫してFR駆動と6気筒エンジンを継承するスポーティさにこだわっています。

 そんな長い歴史のあるスカイラインですが、1985年に登場した7代目は当時人気のあった「ハイソカー」を意識して、直線基調の伸びやかなデザインを採用。

 ボディサイズは全長4650mm×全幅1690mm×全高1385mm(GTS:4ドアセダン)と、全幅は5ナンバー枠に収まっていますが全長はそれまでのシリーズ最長になります。

 6気筒モデルのエンジンは新開発の「RB型」を搭載するなど、十分にスポーティな走りを実現していましたが、外観からは軽快感が薄れてしまいました。

 そこで、1989年に登場した8代目では、内外装のデザインコンセプトを一新。丸みを帯びたボリューム感のある外観に変更されたのと同時に、全長4580mm×全幅1695mm×全高1340mm(GTS:4ドアセダン)と、全長を70mmダウン。

 運動性能を重視して小型化し、足まわりが刷新されてことも相まって、高い運動性能を獲得。16年ぶりに復活した「スカイラインGT-R」もイメージアップにつながったこともあり、一躍人気車となります。

 しかし、スカイラインは次世代の9代目ではひとまわり大きくなって、さらに10代目でまたサイズダウンするなど、混迷した状況が続きました。

 なお、11代目以降は北米での販売が主軸となっているため、大型化が進んでいます。

※ ※ ※

 ボディサイズの大型化は、衝突安全性の確保という点では必須といえます。その一方で、大型化しながらも軽量化にも力を入れているモデルも存在します。

 高張力鋼板など材料の改善と、開発段階におけるシャシの解析技術向上によって、軽量化に成功したといえるでしょう。

 軽量化は見た目ではわからない地味なものですが、「走る・曲がる・止まる」すべてに影響し、燃費も向上するということもあり、今後も技術革新により軽量化が進むのではないでしょうか。