『東京干潟』『蟹の惑星』は7月に2本同時公開された

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 2019年度の新藤兼人賞の受賞者が発表され、連作ドキュメンタリー『東京干潟』『蟹の惑星』の村上浩康監督が金賞に輝いた。『メランコリック』の田中征爾監督が銀賞を獲得し、プロデューサー賞は『新聞記者』の河村光庸だった。

 新藤兼人賞では日本映画製作者協会に所属するプロデューサーが「この監督と組んで仕事をしてみたい」「今後この監督に映画を作らせてみたい」という観点からその年度で最も優れた新人監督を選んでいる。過去の受賞者には『南極料理人』沖田修一監督(2009年金賞)、『ヘルタースケルター』蜷川実花監督(2012年銀賞)『凶悪』白石和彌監督(2013年金賞)らが名を連ねる。

 金賞を受賞した村上監督の『東京干潟』『蟹の惑星』はどちらも東京・多摩川の河口の干潟を舞台にしたドキュメンタリー作品。『東京干潟』では河口で生活しているホームレスに、『蟹の惑星』では河口の干潟のカニを観察する男性にスポットをあてた。

 田中監督の『メランコリック』は深夜に風呂場を「人を殺す場所」として貸し出している銭湯を舞台にしたサスペンスコメディー。低予算の自主制作映画だがウディネ・ファーイースト映画祭など海外の映画祭でも高評価を得た。受賞に際して田中監督は「また更に面白い映画を作れるよう、引き続き頑張らないとなという思いも新たにいたしました。この度は本当にありがとうございました」とコメントを寄せている。

 230作品が選考対象となった今年は『ある船頭の話』オダギリジョー監督、『ウィーアーリトルゾンビーズ』長久允監督、『岬の兄妹』片山慎三監督も最終ノミネーション監督として発表されていた。授賞式は12月6日に都内にある如水会館で実施される。(編集部・海江田宗)