by Valera268268

太陽黒点の数や太陽フレアといった太陽活動の周期は、長年の研究によっておよそ11年であることが知られています。そんな太陽活動の周期が、地球をはじめとする太陽系の惑星によって左右されていることを、ドレスデン・ロッセンドルフ研究所(HZDR)の研究者らが突き止めました。

A Model of a Tidally Synchronized Solar Dynamo | SpringerLink

https://link.springer.com/article/10.1007/s11207-019-1447-1

The Sun follows the rhythm of the planets - Helmholtz-Zentrum Dresden-Rossendorf, HZDR

https://www.hzdr.de/db/Cms?pNid=99&pOid=58444

太陽などの星において、磁気的活動の周期が一定であること自体は不思議な現象ではありません。しかし、一体なぜ太陽活動周期が11年で推移しているのかという点については、これまで明らかとなっていませんでした。

HZDRの研究者であるフランク・シュテファニー氏らの研究チームはこの謎を解明するため、過去1000年にわたる太陽活動の観測結果と、太陽系の惑星の位置を比較。その結果、惑星の位置が太陽活動の周期に大きな影響を与えていることがわかりました。

シュテファニー氏は「惑星の位置と太陽活動には、驚くほど高いレベルでの一致が見られます。2つの現象は11年の太陽活動周期について、90サイクルにわたる完璧な平行性を示しています」と述べています。月の重力が作る潮汐力が地球における潮の満ち引きに影響するように、惑星の位置が作り出す潮汐力は、太陽の活動を決める時計のように働いているとのこと。



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初めて惑星と太陽活動周期を結び付ける説を目にした時、シュテファニー氏は説の正当性について非常に懐疑的だったそうです。ところが、密度の異なる流体が接触する際に流体の運動が不安定化するレイリー・テイラー不安定性のコンピューターシミュレーションを目にした時、「もし太陽のプラズマが小さな潮汐力の影響を受けたらどうなるのか?」という疑問を持ったとしています。

太陽活動周期は太陽の回転とプラズマの複雑な運動により、太陽の磁場が周期的に変化することでもたらされます。太陽のプラズマの動きはレイリー・テイラー不安定性によって、小さな力に対しても非常に敏感に反応するとのこと。シュテファニー氏の作ったモデルは、太陽に作用する惑星の潮汐力の変化が太陽活動の周期に同期していることを示しており、「この結果は驚異的なものでした」と、シュテファニー氏はコメントしました。

太陽系の惑星による潮汐力が最も太陽に大きな影響を与えるのは、金星・地球・木星が一直線に並んだ時だそうです。この並びは11.07年周期で発生し、太陽活動の周期が11年であるという事実に一致します。また、惑星の潮汐力は太陽活動周期だけでなく、17世紀から18世紀にかけて太陽黒点数が著しく減少したマウンダー極小期のように、大きな太陽活動の変化にも影響している可能性があるそうです。



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今回の研究結果は太陽活動周期に関するより正確なモデルを作り出し、将来的には科学者が宇宙環境の天候をより効果的に定量化し、地球上の天気予報を改善することにもつながる可能性があるとのこと。太陽活動に関する根本的な問題についての調査を進めるため、HZDRの研究チームは液体金属を使用した実験の準備を進めているとしています。