手術はわずか18分「稲川淳二」64歳で前立腺ガンを克服した秘訣
人間だれしも、ガンになるリスクを抱えている。「備えあれば憂いなし」とはいうものの、闘病経験のない者にとっては、未知の恐怖がある。そこで、「男性が罹りやすいガン」である、前立腺ガンを克服した稲川淳二(71)を訪ね、気になる「治療内容」「性機能への影響」「その後の生活」について聞いた。
稲川に前立腺ガンが見つかったのは、64歳のとき。定期健診なども受けず、「自分がガンなんてありえない」と思っていた。
「2011年10月、怪談ツアーの東京公演中でした。その日は体調がよく、長い話を3本続けてしゃべったあと、突然、声が出なくなって、酸欠のような状態になったんです。
頭が真っ白になって言葉が出てこない。客席がざわざわして、スタッフも焦りだして。これはなにかあるんじゃないかと、スタッフや友人にすすめられ、しぶしぶ病院へ行きました」
検査の結果、小さな前立腺ガンが見つかった。それまで、症状がまるでなかったこともあり、告知されても気楽に構えていた。
「まわりは心配していたけど、私はぜんぜん平気でね。先生に『あと何年、生きられるんですか?』と聞いたら、『5年は生きられるよ』って。『じゃ、5年たったら先生に手術してもらおうかな』って言ったら、『今、70歳を過ぎていたら手術しろとは言わないけど、60代半ばではもったいない。手術すれば治るんだから』と言われましてね」
医師からさまざまな治療法が提示された結果、手術支援ロボット「ダヴィンチ」による、前立線全摘出を決断した。
「2012年2月14日に入院して、翌日が手術。先生が『これから麻酔をかけます。起きる時間も計算できています。私が稲川さんの耳元に指を置きますから、握り返してください』と。で、気づいたら寝てしまっていて。
『先生、ごめん。寝ちゃった』って言ったら、『手術はもう終わりました』って。噓だと思ったけど、お腹のあたりに6カ所、小さな穴がありました。ちょっと腫れてるだけで、出血も輸血もなし。麻酔で2時間寝て、正味、18分の手術だったそうです」
元気に起き上がって、個室の部屋まで歩いて帰ったという。2週間の入院予定が、10日間で退院できた。
「入院中は夜な夜なナースステーションへ行って、美人の看護師さんたちに、怪談を披露して過ごしました(笑)」
現在は半年に1回、検査のため通院している。
「私は、ガンだからといって、神経質にならなかったのがよかったと思うんです。精神的に落ち込んでしまうと、体調も悪くなるでしょう。性的な力はないけど、もともと、弱くなっていましたからね。
私が突然、酸欠になったように、普通に暮らしていれば、ほんのちょっとの変化に気づくものです。また、『顔色が悪い』『歩き方がおかしい』とか、指摘してくれる第三者の目も重要。そんなときは、検査を受けたほうがいいと思いますね。
ガンを経験して、命をもらったような気がしています。あのままだったら、もしかしたら、5年後に死んでいたかもしれない。そういう人間が、今、言いたいことを言って、元気に仕事ができている。そんな時間をもらえて嬉しいですよ。みんなに感謝ですね」
いながわじゅんじ
1947年8月21日生まれ 東京都出身 最新DVD『稲川淳二の災恐夜話 表編 裏編』が発売中。今夏の『ミステリーナイトツアー2019』は、7月13日、昌賢学園まえばしホールからスタート。公式HPはhttp://www.j-inagawa.com
(週刊FLASH 2019年4月16日号)