東京駅構内の「東京おかしランド」で先行発売したタネザックが人気を集めた

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 亀田製菓が、風味や形状の多彩な米菓、コメが主原料のスナック菓子づくりに力を入れている。背景には、成長が緩やかな米菓市場を活性化させたい思惑がある。そのキーワードに据えているのが「米菓の利便性向上」と「コトづくり」。新しい食シーン展開に向けた戦略を、古泉明男執行役員国内事業グループ商品開発本部長に聞いた。

 ―柿の種ではわさびなど新風味を販売、せんべい『ハッピーターン』にはメッセージ用のスペースを設けています。

 「あらゆるシーンで当社の製品を楽しんでもらい、米菓市場を活性化させたいという思いから、これらの取り組みを続けている。全日本菓子協会の調査によると、2017年の米菓の生産額は前年比3・2%増の2816億円。同額だった15年および16年の2730億円より微増はしたものの、米菓中心の当社としてはさらなる成長を望みたいところだ。新しい味の展開でファン層の拡大を目指すほか、メッセージを書けるスペースのついたハッピーターンを日常のコミュニケーションツールに使ってもらうなど、新しい利用方法、顧客体験を提供するなどして成長を模索している」

 ―秋には、柿の種『タネザック』も投入します。

 「タネザックは、柿の種とピーナツを砕き、ひとくちサイズのドーム状に固めて、紙カップに詰めた。タネザックは、いろんな場所でさっと食べてもらえるように設計した。若い人に手にとってもらいたいと願っている。6月初旬、JR東京駅の東京おかしランドで1日当たり120個限定で先行発売したら、初日は50分で完売。手応えを感じた。秋の本格発売で市場がどのような反応をみせるかが楽しみだ」

 ―コメを主原料に、健康面での特徴を前面に押し出したスナック菓子も発売します。

 「スナック菓子『コメスタ』は、コメの味わいを残しつつ、食物繊維を追加。健康志向を押し出し、市場を開拓したい。コメスタ以外の新製品にも、乳酸菌や豆乳、おからなど健康素材をプラスするコンセプトを適用していく」

 ―今後の製品開発や拡販における方針は。

 「米菓を“自分のために買ってもらえるもの”にしたい。これまで米菓といえば、子どもの時に親しむも、若い時は少し疎遠になって、年を取るにつれまた好きになる製品だった。だが、今はその流れがなくなった。取り組みをブラッシュアップして活性化を図る。発売したら終わりではなく、製品の価値の再定義や次の製品展開を考えながらかじ取りをしたい」

(聞き手=山田諒)