<ハワイ沖で昨年偶然見つかったイルカクジラの中間のような生物は、やはりハイブリッドだった>

科学者たちが2017年8月に米ハワイ州のカウアイ島沖で発見した生き物が、クジライルカのハイブリッド(交雑種)だったと判明した。

米非営利団体カスカディア・リサーチ・コレクティブの最新の報告書は、その生物がクジライルカの間に生まれたと認めている、と研究チームを率いるロビン・ベアードが米CBSニュースに語った。

研究チームは、ハイブリッドかどうかを調査するためにその生体サンプルを採集し、遺伝子を解析した。ベアードは地元紙ザ・ガーデン・アイランドのインタビューで、「最も珍しい発見だ」と言った。

「手元の写真を見て、クジライルカの中間のような外見的特徴から、ハイブリッドではないかと疑っていた」、と彼は言った。

父親はシワハイルカで、母親はカズハゴンドウ(クジラ)と確認できた、と彼はCBSニュースに語った。

上がカズハゴンドウ、下がカズハゴンドウとシワハイルカの子ども


ハイブリッド生物の発見、と聞けば驚くかもしれないが、異種交配の事例はこれまでにもあった。米紙ニューヨーク・タイムズによれば、動物なら10%、植物なら25%が異種交配の結果の可能性がある、と推計する生物学者もいるという。

世界初のハイブリッド例

シマウマと馬を交配させた「ゾース(zorse)」や、アメリカヤギュウと家畜のウシを交配させた「ビーファロー(beefalo)」など、人工的に生まれたハイブリッドの例はいくつかある。だが、自然交配で生まれたハイブリッドは繁殖力が弱く、進化の段階で行き詰まる例が多い。

交配した2つの遺伝子があまりにかけ離れているか、染色体の数が異なる場合、一般的に見て子孫が繁殖を続けるのは不可能だ。

今回のハイブリッドがそれに当てはまるかは不明だ。

カズハゴンドウはハワイ沖をめったに泳がないため、研究者たちは群れの発見に驚き、生体の動きを把握するための衛星タグを取り付けたという。

米海洋大気局(NOAA)によれば、カズハゴンドウの生息数は海域によって様々で、ハワイ沖では約400頭、熱帯東太平洋では4万5000頭と幅がある。

カズハゴンドウクジラが発見されるのは、通常は熱帯の深海だ。社交的で、数百頭から1000頭超の群れで泳ぐことが多い。

シワハイルカも熱帯や温帯の海を泳ぐことで知られている。イルカの仲間で、通常は10〜20頭の群れで泳ぐ。

報告書によれば、これら2種によるハイブリッドの発見は世界初だという。

研究者たちは8月に2週間ほど発見地点であるカウアイ島に戻って、さらに調査を続ける計画だ。

<追記>
CBSの追記によれば、カズハゴンドウはイルカの仲間であると同時にクジラの仲間とも分類できる。

(翻訳:河原里香)

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