ブラジル大会のチームも26歳以上の選手数は南アフリカ大会やロシア大会のチームに近い。だが、22〜25歳の選手が10名入り、全体の43%を占めるなど若い選手が非常に多かった。清武弘嗣、齋藤学らロンドン世代の選手たちが大量にメンバー入りした影響だが、レギュラーとして試合に出場したのは大迫、山口、香川、吉田の4名だけ。当時は本田、長友、岡崎たち北京世代の実力が図抜けており、ザッケローニ監督の信頼も絶大だった。それゆえロンドン世代の選手はチャンスがほとんどなく、日韓大会の時とは異なり、この世代でレギュラーになれる選手は少数になってしまった。
 
 ロシア大会のメンバーの年齢分布が南アフリカ大会に近いからといって同じような結果が出る保証はないが、力を発揮できればという期待感はある。チームは今後、一体感を形成していくことになるが北京世代、ロンドン世代、リオ世代と人数的にどこかに偏ることもないので、これからレギュラーとサブが明確になっても比較的にまとまりやすいだろう。

 ただ、南アフリカ大会の時のチームと異なるのが、若い選手の台頭がほとんどないことだ。あの当時、25歳以下の本田、岡崎、長友たちはレギュラー選手を喰ってやるみたいなギラギラしたパワーを持っていた。だが、今のロシア大会に挑むチームの25歳以下の選手からはそういう熱が感じられない。マグマのようなパワーを持つ若い選手がチームにとって大きな大会には不可欠なのだが、そこが今回、どう結果に影響するか。
 
 安定した年齢の高い選手を重用したチーム編成だが、若い選手には負けないと「おじさん」世代が圧巻の活躍を見せてくれるだろうか。最後のワールドカップになるだろう30歳以上の選手たちの踏ん張りがロシア大会の命運を握りそうだ。

取材・文●佐藤俊(スポーツライター)