沖縄県の県外から保育士に来てもらおうと、浦添市(うらそえし)が始めた「プチ移住」計画がネット上で注目を集めている。

「人も気温もあったかい〜」「太陽のまち浦添に保育士プチ移住」。浦添市は、保育士不足を解消しようと、こんなキャッチフレーズで県外からの保育士を募っている。

「保育士10人を確保すれば、保育所に80人ほどが入れる」

市内には、市立保育所が3か所あり、そのほか、私立保育園もいくつかある。市は、県外からの保育士確保を「保育士OKINAWAステイ計画」と名付け、市立保育所では、2018年4月から3年間、臨時職員を10人ほど採用することにした。


浦添市の募集計画

沖縄への移住と保育士として働きたい思いをサポートするとして、採用者には、引っ越しなどのための支度金を3年間で計100万円支給する。また、家賃補助として毎月6万円を支払う。

給料は日当とし、保育経験年数から9000円〜1万円を支払う。経験7年以上なら、日当1万円として、週に5日働く計算で、年収264万円になる。

市の保育課は18年1月23日、Jタウンネットの取材に対し、計画を始めた理由についてこう説明した。

「市立保育所3か所の定員は380人ですが、現状では、350人に留まっています。保育所の面積を考えると最大で432人は入れる計算で、保育士10人を確保すれば、あと80人ほど保育所で受け入れることができます。県内の他の市町村でも保育士が足りませんので、取り合いを防ぐために、県外から保育士を募集することにしました」

市の待機児童は、17年10月1日時点で329人に上っており、県外からの保育士確保で待機児童を減らしたい考えだ。

「沖縄に遊びがてらに3年ぐらい行ってみたい人は多いはず」

浦添市が計画に基づいて17年12月から臨時職員を募ったところ、県外の人22、3人から問い合わせなどがあった。このうち、18年1月12日の締め切りまでに14人が応募してきており、市では、この中から臨時職員10人を選びたいとしている。

市内の私立認可保育園のうち4、5園が県外からの保育士を希望しており、市では、近く追加で計画に基づいた募集を始めることにした。この場合も、支度金100万円や家賃補助月6万円は支払われる。締め切りは2月9日になる予定。

市立保育所3か所では、保育士が計80人ほど働いている。そのうち、30人ほどが正職員で、50人ほどが臨時職員になる。臨時職員は、18年4月から県外からの採用者と同じ額の日当が支払われるが、支度金や家賃補助は受けられない。しかし、市が臨時職員にアンケートしたところ、「人が増えると休みが取りやすい」「シフトを組むのが楽になる」と肯定的な声が多かったという。

なお、正職員は、臨時職員と違って、昇給やボーナスもある。しかし、市全体の職員定数が決まっており、ここ5、6年は採用できていない。

県外からの臨時職員は、3年間が終わると、支度金や家賃補助がなくなり、ほかの臨時職員と同じ1年の契約更新になる。ただ、状況がよければ、保育所や保育園で正職員になれる可能性はあるそうだ。市の保育課では、「沖縄に遊びがてらに3年ぐらい行ってみたいという人は多いでしょう。今回の募集が、市内定住へのきっかけになればと思っています」と話している。