今夜3話「小さな巨人」わんこ俳優・岡田将生は長谷川博己のストーカーに見える

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TBS系夜9時からの日曜劇場『小さな巨人』。警察組織の中で挫折を味わいながらも自らの正義を貫く男の戦いを描く。大ヒットドラマ『半沢直樹』のスタッフが結集したことでも話題だ。先週放送された第2話の視聴率は13.0%。右肩上がりというわけにはいかなかったが、まずまずの数字だろう。


事件の鍵を握っていたのは映像加工だった


捜査一課から所轄の警察署に左遷された香坂真一郎(長谷川博己)は、所轄の刑事・渡部久志(安田顕)と組んで、巨大IT企業ゴーンバンクの内部で起こった謎の自殺を追う。

第1話ではゴーンバンク社長の中田(桂文枝)が誘拐されるという事件が起こったが、事件の引き金になったのは中田の息子・隆一(加藤晴彦)が経営するナカタエレクトロニクスの取引先、風見エレックの風見京子(富永沙織)の自殺だった。裏側では京子が開発した防犯システムの技術がナカタエレクトロニクスに流出していたのだ。

第2話では、香坂と渡部は独自に捜査を進め、京子の自殺の鍵を握るナカタエレクトロニクスの社員、池沢菜穂(吉田羊)に行きつく。池沢のトリックを暴いた香坂は、京子の自殺が実は殺人だったこと、そして京子をビルから突き落とした第3の人物がいたという池沢の証言を得る。しかし、すんでのところで捜査一課が逮捕してしまい、取り調べで「自分がすべてやった」と供述を一変させてしまった。

ラストに登場するゴーンバンク社長の中田(桂文枝)は、料亭で酒を酌み交わしながら「捜査一課長のおかげで助かりましたよ」と捜査一課長・小野田義信(香川照之)に語りかける。普通に考えれば、誘拐事件で助けられた話をしているように見えるが、小野田が違う件でゴーンバンクを助けたようにも取れる。警察OBがゴーンバンクの系列に大量に天下りしていることも明らかになっており、両者が結託する巨悪の存在がいよいよ見えてきた。

ところで、第2話のキモになっていたのは、「監視カメラの映像の加工」だった。本当は2人映っていた映像を1人しか映っていないように改ざんしていたのだ。「そんなことって本当にできるの?」と思うことなかれ。同じTBSでBPO(放送倫理・番組向上機構)の審議入りしたバラエティ番組『ピラミッド・ダービー』ではバッチリ出演者の1人がきれいにCG加工で消されていたのだから。つまり、今の時代、それぐらいの加工は簡単にできるということ。自社の反省すべき過去を前向きなネタに変えるなんて、TBSの懐の大きさを感じる。

わんこ俳優・岡田将生に注目!


先週のレビューで、『小さな巨人』は長谷川博己と安田顕のバディムービーだと書いたが、今週ものすごい存在感で2人に絡んでいったのが捜査一課のイヤミなエリート刑事・山田晴彦役の岡田将生だ。

先週もそうだったが、「そんなにヒマなの?」と思うぐらい2人をピッタリとマーク。そろそろ現れるんじゃないかと思うと、必ず現れるストーカーっぷり。明らかにこれは三角関係だ。山田は香坂を敵視しているようだが、本当は絶対に好きなんだと思う。第2話のラストで香坂は山田に敵意をむき出しにしていくが、山田は本当にうれしそうだった。あれ、絶対に「かまってもらえる!」と思っているに違いない。

香坂と山田の「犬」に関する問答も良かった。

山田「すべては出世のため、上司である一課長に手柄を差し出すためですよ。そのためなら僕はなんだってします」
香坂「まるで犬だな。ご主人の機嫌をとり、命令に従い、手柄を差し出し、可愛がってもらう。そこまでして出世がしたいか」
山田「(食い気味に)ええ、そのためなら犬で結構」

警察は「犬」にたとえられることが多い。犬は主人に従順だ。童謡「犬のおまわりさん」のイメージも強いが、反体制側からは「権力の犬」と呼ばれることが多かった。押井守監督の映画には警察と犬を結びつけたイメージが頻出する。

山田の現在の主人は捜査一課長の小野田ということになるが、それ以上に彼の発言は現在の体制に従順であることを示しており、香坂は体制そのものを変えなければいけないと思っている。香坂は体制の腐敗ぶりに気がついているのだろう。

そして、そんな本筋とは別に、香坂にまとわりついている山田の犬感がすごい。この犬問答を見ていた(主に岡田将生ファンの)視聴者たちは「岡田くんはやっぱりわんこ俳優!」と盛り上がっていた模様。たしかに言われるとわんこっぽい。そのあたりのファン心理をわかった上で、スタッフは犬問答を作ったのだろうか?(そんなわけはない)

今夜放送の第3話では、徐々に香川照之のエンジンがあったまってくる模様。長谷川、安田、岡田の三角関係にも注目だ。今夜9時から。

(大山くまお)