全国各地から、桜の開花情報が続々と届いている。読者の皆さんはお花見に行かれただろうか? 花見の時季になると、むしょうに食べたくなるのが桜餅である。だが一口に桜餅といっても、いろいろのようで......。

2017年4月5日、次のような写真付きのツイートが投稿され、話題となっている。

写真左が関西の桜餅、写真右が関東の桜餅だ。「関東の桜餅が謎の物体過ぎてこわい」というコメントが添えられている。これには1万を超えるリツイートがあり、今も拡散中だ。

「餅どこいったんだよ」

関東風の桜餅(dreamcat115さん撮影、Flickrより)

冒頭のツイートには、おそらく関西人と思われる人々からこんな声が寄せられている。

「クレープじゃん」「あれもうあんこ食べてるのと変わらないから。餅どこいったんだよ」「さくらあんこに名称改めたらいいのに」などと、異口同音に関東の桜餅を酷評している。

なるほど、桜餅を巡る東西文化の溝はこれほどまでに深かったのか、改めて実感させられた。

実はJタウンネット編集部でも2015年春、この問題について、アンケート調査を行ったことがあった(参考:「桜餅」といえば、どっち?)。

東京都墨田区向島の「長命寺」の桜餅が名高い関東風の桜餅は、小麦粉を使った生地を薄く焼き、あんを包んだものだ。江戸時代、隅田川沿いの桜の名所に集う花見客に、樽に塩漬けにした桜の葉で巻いて売ったのが始まりと伝えられる。

一方、関西では道明寺粉という、もち米を蒸して乾燥させ、粗めに砕いたものを使って、あんをくるむという。

このアンケート調査の結果は、いささか予想外のものだった(参考:桜餅といわれて「皮で巻いたモノ」を思い浮かべた人、あなたは少数派です)。


「桜餅」といえば、どっち?(2015年3月、Jタウンネット調べ)

要約すると、関東風は23.8%、関西風は74.5%、その他が1.7%だった。つまり関西風の圧勝で、東北・関東・甲信越の一部を完全に包囲している状態だった。

さらに衝撃だったのは、長命寺の桜餅を輩出した東京都において、関東風はわずか26.9%で、関西風が71.7%だったことだ。東京都には全国各地からの流入者がいかに多いかが、証明されたような結果となった。

桜餅の世界では、関西風が多数派だった。皮で巻いたモノ、関東風を思い浮かべる人は、残念ながら少数派だったのである。

関西風・桜餅(se7enさん撮影,Flickrより)