物書きになりたての頃、実績もない僕は仕事もなかったので、ヒマを持て余していた。するとおかしな考えに至るもので、各地の怪奇スポットを巡って、紀行文を書くことを思い立った。

千葉、神奈川、大分。色々と見て回ったんだけど、いかんせん霊感がないので普通の観光になってしまった。そのうち、地元の宮崎に、ここ10年話題になっている幽霊屋敷があるという噂を聞くことができた。なんでも、無人のはずなのに、夜中になると話し声が聞こえる一軒家があるというのだ。

帰省がてら、この一軒家を訪れてみたんだけど、到着してみればそこは小学校からの同級生の自宅だった。節約に命を賭けるようなタイプの男で、特に電気代を極限まで安く済ませることに執心を見せていた。

そんな節約人間の自宅が、何がどうなって幽霊屋敷と呼ばれるようになったのかは判然としないが、おそらく夜になっても灯りを点けずに家の中をうろうろしているところから、幽霊に間違われたんだろう。怪奇スポットなんて、ほとんどはこういう"勘違い"が生み出すもののように思える。(文:松本ミゾレ)

子どもが不登校、別の家では夫婦が離婚、これって不吉?

先日、ガールズちゃんねるに「曰く付きの土地って本当にありますか?」と題されたトピックが立った。

トピ主によると、なんでも近所に300坪ほどの土地を持っていた人物が、その土地を三等分して売りに出したところ、3軒の家が建った。するとこのうち1軒の家で子どもの不登校が発生し、もう1軒に入居していた夫婦も離婚してしまったという。不幸が連続したことから、トピ主は「いわく付きの土地」ではないのかと勘繰っているようである。

個人的な見解を言わせてもらえれば、そんなのただ偶然が重なっただけだとしか思えない。今のご時勢、子どもの不登校なんて珍しいものじゃないし、離婚する夫婦だって3組に1組ぐらいの割合で発生している。

しかも3軒のうち2軒だけしかトラブルが起きていない。もう1軒は何事もないわけだし、怪我人、死人も出ていないんだから、別に普通の土地のような気しかしない。

というかこのトピ主、他所の土地の住人のトラブルについて結構詳しいみたいだけど、その方が僕としてはオカルトだ。近所と言っても他人の家族関係のいざこざなんて、積極的に知ろうと思わない限り、知りようがないし……。

「目が覚めると生首と目が合う」という眉唾物の話も

この投稿に対しては、「気にし過ぎじゃない?」というような現実的な意見がいくつも寄せられている。妥当な反応だろう。

さて、そんな書き込みの中にも、言われてみれば確かに不思議な内容があった。いくつか紹介してみたい。

「すごく便利で立地が抜群なのにコロコロお店が変わる場所がある。角地だから駐車しやすいし、駅近だし、大型マンションも近くにあるのに。何がいけないんだろう?」
「うちの近所に、3回続けて家が火事になった土地あるよ。住む人は毎回違うのに」
「戦国時代首塚があったとされる近所に住んでた。 その場所には、コーポが建っており、入居しても、間も無く人が出て行ってしまう。コーポ入居者の話によると、鎧着た人が夜な夜な部屋を徘徊。目覚めると生首と目が合うそうだ」

こんな感じで、パンチの強い書き込みがいくつかあった。ただ、テナントに入った店舗が間もなく撤退。居抜き物件のため、すぐに別の店が入るものの、また短期間で撤退してしまうというケースは割と見る。

これはオカルト的な原因云々より、その地域にマッチしたサービスを提供できていないことが問題のような気がする。住宅街なのに駅前にあるような店舗を出店しても、あんまり上手く行かないだろうし。

やっぱりいわく付きとされる土地、物件の王道って、過去に事件や事故が起きていて、その後の入居者も不幸な事故に見舞われたり、重病を患うなどの類の不幸が連続するケースだろう。連続出火する家だとか、首塚の上に立った住居で鎧武者がうろつくとか、こういうのがザ・いわく付きの土地だ。

僕は今までこういう土地に足を踏み入れても何も感じることはなかったけど、霊感が鋭い人は、何か察知するんだろうか。

それにしても、土地によって住む人の幸・不幸が左右されるというのも、考えてみれば面白いというか、理不尽な話だなぁ……。苦労してお金を貯めたり、ローンを組んで買った家がいわく付きの土地に建っていたなんて、自分が食らったらとてもじゃないが笑えやしない。まあ、それもただの気のせいかもしれないけど。