屏東県政府提供

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(屏東 19日 中央社)台湾を代表する果物の一つ、バナナ。これまでは八百屋やスーパーなどで1房ごとに買うのが一般的だったが、最近ではコンビニエンスストアで1本から購入できるようになった。伝統的な販売方法を止め、コンビニへの出荷を決めたバナナ農家の余致栄さん(43)は「価格が安定した」と喜んでいる。

余さんは祖父の時代から続くバナナ農家に生まれ、幼い頃から収穫期には家族の手伝いをして育った。バナナにはとびきりの愛着がある。一時はサラリーマン生活を送ったが、約十数年前に母親が体調を崩して10ヘクタール以上ある農園の担い手がいなくなったのを機に家業を継いだ。

ただ、悩みの種だったのはバナナは価格が不安定で利益が少ないこと。苦しい経営状況を改善しようと、仲間と組合を結成して独自に選別を行い、品質の向上に努めた。

そんな時に舞い込んだのがコンビニへの出荷の打診だった。バナナのばら売りは未知の経験で、多くの農家が尻込みする中、余さんは生活習慣が今までとは大きく変わったことに着目し、決死の覚悟で出荷を決めた。

結果は大当たり。高品質の商品が1本から買える手軽さが多くの消費者に受けたほか、1度に食べ切れる量だとしてサラリーマンから好評を得た。以前は1キロ5〜8台湾元(約16〜26円)になることもあった価格は、25〜28元(約80〜90円)で安定。今では毎週5トンのバナナを出荷するようになった。

始めは不安もあったと話す余さん。だが、日に日に増える出荷量に加え、1日で15万本の注文が入ったこともあり、成功を確信。自分だけではなく、産業全体にも利益をもたらしたと語っている。

(郭シセン/編集:齊藤啓介)