スマホの速度が2倍になる？ キャリアアグリゲーションって何？
総務省の有識者会議は、データの送信速度（上り）を最大2倍、受信速度（下り）を最大1.33倍と高速化する新技術を認める答申を出した。
8月にも手続きを終える方針とのことで、その後は携帯電話会社各社がサービスを始める見込みだ。そこで気になるのは、どんな仕組みで通信速度が高速化されるのかということだ。
●キャリアアグリゲーションは道路にたとえてみる
通信速度を高速化する技術はいくつかあって、今回はそれを組み合わせた提案となっている。
まずは上り速度の改善から。
自分で撮った写真や動画を友達に送ったり、SNSや共有サイトにアップロードしたりすることも増えてきたが、高解像度であればあるほど、送信に時間がかかることを実感する人も多いのではないだろうか。
今回、上り速度を向上するために使われるのがCMなどでも耳にする「キャリアアグリゲーション」だ。
キャリアアグリゲーションとは通信に使用する電波の帯域を複数束ねる仕組みだ。
たとえば、
これまで別々に利用されていた2GHz帯と800MHz帯、さらには1.7GHz帯などの周波数帯域を同時に利用可能にすることで、一度にやりとりできる通信量を増やすことができる。
このことは、よく道路にたとえられる。
これまで1車線だった道路が2車線、3車線と広がれば、道路の混雑を解消できて、スムーズに走れるようになる。
この仕組みは、実は既にLTE-Advancedなどで採用されていたが、これまで利用できていたのは下りのみ。上りでも利用可能になることで、送信速度が一気に2倍になるのだ。
そして今回下り速度を向上させるために使われるのが「256QAM」という技術だ。
下り速度では、現状でも高精細な動画をストリーミング再生できるくらいに向上しているが、これがさらに現状の1.33倍速くなる。
NTTドコモは2016年夏モデルから下り最大375Mbps対応を発表しているので、これの1.33倍なら約500Mbpsの通信が可能となる計算だ。
スマホでデータをやりとりするには、データの信号を電波にのせる“変調”を行う必要がある。
256QAMとは、この“変調”の方法の1つだ。
256QAMは、電波の最小の単位あたりに乗せるデータのサイズが従来よりも大きいため、通信速度が向上する。
たとえると、
1回に運べる荷物のサイズが大きくなったということだ。
こうした新技術が登場しても、すべてのスマホが高速通信可能になるわけではなく、対応端末が必要だし、設備が整った地域から利用可能となっていく。また、携帯電話各社、採用する方式やサービスに違いが出てくるかもしれない。
もちろん、通信速度の向上は歓迎すべきことなので、今後の発表やサービスの提供時期について期待したい。
